2016年1月16日土曜日

第19回 特別編 現役ゲームクリエイターに学ぶ ものづくりの極意!

 2016年1月14日(木)に電気通信大学にて開催した公開ゼミナールで使用した講演資料をシェアするため、こっそりと公開いたします。

 平成28年電気通信大学公開ゼミナール
 「現役ゲームクリエイターに学ぶ ものづくりの極意!」

主に学生さん向け対象としての資料となります。講演聞きに来た学生のみなさんにはけっこう好評だったようで、大変よかったです。講演依頼おまちしています。

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2013年6月26日水曜日

第18回 謎の用語「ゲーム性」を説明してみた(3)~高けりゃいいってもんじゃない編

 やっほー。かいぽんです。

 前回前々回にひきつづきゲーム性のお話しですよー。
今回は、ゲーム性は高ければいいってもんじゃない。というテーマになります。
 ではいってみよー!


ソニックブラストマン


 古い作品だが、「ソニックブラストマン」というパンチングゲームの例をみてみよう。みなさんも、一度は街のゲームセンターでみたことがあるはずだ。

ソニックブラストマン ©TAITO CORP.


 このゲームのストーリーは明快だ。「あなたはスーパーマンとなってさまざまな災厄から町の人々を守る。それもパンチ3発で。」

 広義のゲーム性(ゲーム体験)はこうだ。「パッドを殴ると、TV画面の中のターゲットが壊れていく」「スカッと殴ってストレス解消」

 狭義のゲーム性(ゲームメカニクス、ゲームルール)はさらに単純だ。「パンチ3発の合計値が既定値を超えていればクリア。そうでなければゲームオーバー」「難易度は5種類から選べる」。これだけ。ほかにはなにもない。

 そのゲーム性(ゲーム度)の評価はどうだろうか。ゲーム性(ゲーム度)は極めて低い。アホのように低い。むしろゲームかどうかすら微妙なレベルだw

 にもかかわらず、この単純きわまりないゲーム「ソニックブラストマン」は市場で人気を博した。稀代のバカゲー?として面白さは評判になり、20年以上を経た現在でも多くのプレイヤーの記憶に残っている。(なお現代風にリニューアルされたリメイク最新作もあるよ!)


 ソニックブラストマンの例でいえば、たとえば「タイミングをはかってパンチを出すと高得点」「RPG要素を加えてパンチ力が成長していく」などのゲームルールを追加することも可能だったろう。実際に制作当時にそういうアイデアもあった。だがそれらのアイデアは冗長な蛇足だ。ゆえに捨て去られた。

 ソニックブラストマンは、狭義のゲーム性(ゲームメカニクス)を単純にし、ゲーム度を下げたことによって逆に面白さが研ぎ澄まされたゲームの例なのだ。(ぼくはこの端的な事実に非常に強い感銘を受けている)


 ではゲーム性は単純なほうがいいのか? さにあらず。こんどは複雑なゲーム性のゲームをみてみよう。


麻雀


 次に、テーブルゲームの代表格「麻雀」を例にとってみる。

 狭義のゲーム性(ゲームメカニクス、ゲームルール)は複雑極まりない。使用する牌だけで34種類。ゲーム進行や得点システムなどは一見ではまったく意味不明なほど入り組んでいるうえ、専用用語など覚えることも多い。

 にもかかわらず麻雀が人気ゲームとなっている背景には、広義のゲーム性(ゲーム体験)がシンプルでわかりやすい、という点にもある。すなわち「たくさん和了った(あがった)奴がえらい」「あがるかあがられるかのスリル」「点棒を多く持ってる人が勝つ」という分かりやすさがある。

 麻雀のゲーム性(ゲーム度)は、高いといえる。ほぼ無限のゲーム局面に対し、プレイヤー間のかけひき、不完全情報ゲームとしてのバランスがとれており、意志決定の機会数・選択肢ともに豊富である。ひとことでいえば、非常に頭を使うゲームだ。にもかかわらず、運次第で大勝ちもできる懐の広さもある。


 えっと、じゃあ、結局のところ、広義のゲーム性がシンプルならいいってこと? さにあらず。こんどは広義のゲーム性が複雑なゲームの例をみてみよう。


サッカー


 「サッカー」は世界的な人気スポーツだ。スポーツではあるが、その体裁は明らかにゲームだ。

 狭義のゲーム性(ゲームメカニクス、ゲームルール)は実に単純である。「ボールを相手ゴールに蹴り込めば1点」「ゴールキーパー以外は手を使ってはいけない」など、そのルールは子供でも容易に理解できるほど簡単だ。

 わかりにくいといわれているオフサイド・ルールも、その意味はシンプルである。(ちなみにオフサイド・ルールが一見難しくみえるのは、オフサイド・ラインの定義がちょっと複雑だからである)

 いっぽうで、サッカーにおける広義のゲーム性(ゲーム体験)の魅力をひとことで語るのはなかなかに難しい。サッカーのなにがどうおもしろいのか。「華麗なテクニックとスピード感」「クリエイティブな戦術」「予測不能でダイナミックな試合展開」などなどが挙げられるが、なんだかもやっとしている。

 サッカーには引き分けもあるので、「ゴールの数で勝ち負けが決まる」という素直さもない。0-0のスコアレスドローの試合でも面白かった!という場合の魅力を、どう説明すればいいのか悩む。

 サッカーのゲーム性(ゲーム度)は、高いようにみえる。めまぐるしく変化するゲーム局面。プレイヤー同士のかけひきが生み出す戦術には無限のバリエーションがあり、鍛えられたプレイヤーのフィジカルとクリエイティビティから繰り出されるゴールシーンの爽快感は格別だ。

 サッカーは、プレイするものにとってはもちろん、観戦者にとっても熱狂的におもしろいスポーツであることは間違いない。しかしそのゲームメカニクス(ゲームルール)は、ソニックブラストマン並みに単純である点に留意してほしい。サッカーはあきらかに、単純なルールから複雑な局面が創発されるゲームなのである。


まとめ


 以上、3つのゲームの例をみてきた。

 ゲーム性が低いものも、高いものも、複雑なものも、単純なものも、それぞれに面白さがある。

 必要なのは、ゲームを複雑にすることではない。かといってシンプルにするべきということでもない。

 ゲームをデザインする作業においては、ゲーム性をそのゲームの目指すところにおいて、意図をもって、最適な質と量にコントロールすることが最も重要かつ必要なのである。

 その意味において、ゲーム性はただ高ければいいってもんじゃないのである。というのがぼくの結論。ゲーム性をあえて落とすのもひとつの選択肢なのである。勇気をもってやろう!


 さて、今回のお話しはどうだったでしょうか。今回は文体がちょっと硬かったネ。あと麻雀とサッカーの話はちょっと強引だったかもしれないけど、言わんとするところはわかってもらえたんじゃないかと思います・・・。

 それではみなさんまた会いましょう。まったねー!

2013年6月23日日曜日

第17回 謎の用語「ゲーム性」を説明してみた(2)~解決編

 こんちゃーす。かいぽんです。

 「ゲーム性」・・・ おそろしい言葉だ。だが、ゲームデザイナーとして、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ・・・


 前回の問題提起編と同様、ゲームデザイナーとして避けては通れない道、「ゲーム性」という言葉の定義に、完全かつ最終的な説明をつけるべく、今回もがんばります!


 では早速ですが、次の例文をごらんください。この例文ですべてが説明できるかと思ってます。

 「宝くじのゲーム性とは、高額賞金が当たるかドキドキしつつ待つことにあり、

 そのゲーム性は、抽選により当選番号が定まることである。

 総じて、宝くじのゲーム性は低いといえる。」


 な、なにをいっているかわからねーだろうが、頭がどうにかなってしまわないよう解説しますね。

 「ゲーム性」という用語を使う場合、その文脈によって以下の3つの意味に大別できると考えています。

  1. 広義のゲーム性 = fun factor
  2. 狭義のゲーム性 = core game play mechanics
  3. 面白さを表す尺度 = ゲーム度(※個人差あり)


1.広義のゲーム性


 そのゲームの何がおもしろいのか。ゲームプレイでなにを楽しめるのか。というオーバービューでみたとき、そのゲームが提供する楽しさが何か?を表すものが「広義のゲーム性」といいます。

 宝くじでいえば、「くじが当たるかどうかドキドキする」「夢を買う」という楽しみがありますが、これが広義のゲーム性にあたります。

 このゲーム、なにがおもしろいの?なにが楽しめるの?どういった体験ができるの?と問うたときに返ってくる答えが、広義のゲーム性なのです。

 広義のゲーム性は、ほぼ客観的な要素であり、基本的には得られるユーザー体験を形容詞や動詞で表現するものになるといえます。商品性と言い換えてもよいでしょう。


2.狭義のゲーム性


 ゲームルールやゲームシステム、操作性やUIなど、ゲームを構成する各要素やその噛み合いなどを表すものが、狭義のゲーム性といえます。そのゲームの楽しさをどうやって?作り出しているか、というメカニズムを表します。

 宝くじの例では、当選番号が完全にランダムで決まり、その前後賞などがある、というのが狭義のゲーム性にあたります。

 このゲーム、どういうルールなの?どういう仕組みになってるの?という問いの答えが、狭義のゲーム性といえます。

 狭義のゲーム性も、ほぼ主観の入る余地のない客観的な要素であり、具体的なゲーム仕様などを名詞や数値などで表現することができます。


3.面白さを表す尺度(ゲーム度)としてのゲーム性


 ゲーム全体で見て(広義のゲーム性と狭義のゲーム性とを鑑みて)、そのプレイヤーにとってそのゲームまたはゲーム要素がどのぐらい?面白いかを表す尺度で、「ゲーム度」あるいは「ゲームおもしろ度」と言い換えるとわかりやすいかと思います。

 前2つのゲーム性とは違って、このゲーム度は尺度です。指標です。

 さらにはこの「ゲーム度」という指標には完全に個人差があります。評価者がどう見るかによって、尺度のスケールが変わってきます。他の2つの「ゲーム性」とは違って、ゲーム度はどうしても主観的なバイアスがかかってしまうのです。

 宝くじの例でいいますと、買ったら待つだけ、ランダムで当たりが決まる。ゲーム的要素がなにもない(ゲームっぽさがない)、すなわちゲーム度は低い(ゲーム性は低い)と評価する人がいるとします。

 そのいっぽうで、当たればリターンが大きい、ドキドキして射幸心が煽られる、これはむしろゲーム度が高い(ゲーム性が高い)、と評価する人もいます。

 このように評価が180度異なってしまってしまう場合がでてきます。しかもどちらが正しいとも言いがたい。

 なぜこんなことになるのか。広義のゲーム性と狭義のゲーム性のどちらにウエイトを置いて評価するかによって、結果が変化してしまうためです。そのゲームをみる立ち位置によってまさに千差万別の評価になってしまうわけですね。というか、広義のゲーム性があることによって、ゲーム度は評価者個人の主観の影響をどうしても免れません。

 いずれにせよこの「ゲームの面白さを表す尺度」は主観性の高い指標であり、ここに「ゲーム性」なる言葉を使っていることが、巷のゲーム性論争を混乱させる要因のひとつになっていることは否めません。

 そのために、この3番目の意味での「ゲーム性(ゲーム度)」は、ゲーム性の定義から明確に除外すべきだ、という意見もあります。ぼく自身は、現実として世間でそのように使われてるので除外しようがない、とは思ってますが。



 駆け足でしたが以上が解説となります。ゲーム性という言葉で表されるものは、この3類型で全部かな、と思います。

 ここでもういちど冒頭の例文をみてみましょう。


 「宝くじのゲーム性とは、高額賞金が当たるかドキドキしつつ待つことにあり、

 そのゲーム性は、抽選により当選番号が定まることである。

 総じて、宝くじのゲーム性は低いといえる。」


 今度は文脈がちゃんと読み解けましたでしょうか。宝くじファンの方は、ゲーム性は高いといえる、と読み替えてもらっても差し支えありません。


混乱の元凶は


 「ゲーム性論争」はなぜ紛糾するのでしょうか。またなぜうまく表現できないのでしょうか。

  • 前後の文脈を読み取れず、その時のゲーム性の持つ意味を取り違えてしまう。
  • 「広義のゲーム性」と「狭義のゲーム性」の間にグレーゾーンがある。また内容がかぶってしまうことがままある。
  • 「面白さを表す尺度(ゲーム度)」に個人の主観が入る。


 という3大原因によって、混乱に拍車がかかってしまうといえます。

 2番目の「広義のゲーム性」と「狭義のゲーム性」の内容がかぶってしまうケースとは、たとえば、「手にぴたりと吸い付くようなダイレクトかつクイックな操作感を楽しむゲーム」という狙いのゲームタイトルがあった場合、広義のゲーム性でも狭義のゲーム性でも、その両方に操作感という評価要素が出てきます。

 この場合には文脈によってどちらのゲーム性における操作感なのか、ややこしいうえにあやふやになりがちです。ゲームによってはそういうことがままあります。

 また、「広義のゲーム性」という文脈にはたとえば「超絶美麗CGを楽しむ」といった要素も含まれることになります。ここでおもに狭義のゲーム性に特にこだわる人々にとって、「おい、グラフィックとかゲーム性に関係無いだろ!」という誤解と混乱を生むこともしばしばです。

※なお、グラフィックはいまやゲーム性に多大な影響を与える重要な要素として認識されています。狭義のゲーム性においても、グラフィックがゲームメカニクスに及ぼす影響には多大なものがある。というのがいまや一般論になっているかと思います。

まとめ


 さて、今回は「ゲーム性」の定義について、完全かつ最終的な説明をして試みよう!と大上段に構えてみたわけですが、いかがでしたでしょうか。最終的とかいいつつ、gameplayとfun factorの違いについてはあいまいなままなので、もうちょっと詰めて考える必要がありそうだということにいま気付きました。たはは。

 「ゲーム性」という言葉は、前後の文脈でその意味が変わってきます。ぼく自身は、よけいなコミュニケーションロスを生まないために、なるべく「ゲーム性」という言葉を使わないよう推奨しますが、もし誰かが「ゲーム性が~」と言ってきた場合には、文脈をとらえて正しく理解することが大事だと思っています。

 ただし!そのときの注意。「おたくのいうそのゲーム性って、どういう意味でのゲーム性よ?」などと逆質問してはいけません。ダメ!絶対!不毛な宗教論争がはじまりたいへんな時間のロスになってしまう可能性が高いです。ふんふん、と聞き流す体で適宜に解釈してあげましょう。


 「ゲーム性」という言葉のもつ3つの意味を正しく解釈して使いこなせれば(なるべく口には出さずに頭の中でね!)、これはゲーム制作における羅針盤としてとても有効な処方箋になるでしょう。しかし混同して使ってしまうと、薬も毒になってしまいかねません。ここが悩ましいところ。

 本ブログ読者のみなさんにおいては、ゲーム性のもつ3つの意味をよく吟味して、ゲームの分析や評価にぜひ活用していただければ、と願っています。

 そしてもしこんがらがったときには、この宝くじの例を思い出してネ!そしたら大丈夫だよ。あと、そもそも宝くじってゲームなの?って疑問を持っちゃダメだよ。コスティキャンの定義ではゲームじゃないってことになりますが?などと言ってはダメ!絶対!世の中はすべてゲームなんだから。

・・・

 今回のお話しはどうだったでしょうか。ちょっと難しかったネ。解決になったかな?

 さて、このお話は、あともう一回続きます。(なんと!)
次回は、「ゲーム性は、高けりゃいいってもんでもないんだよ~。」というお話しです。お楽しみに!それではさようなら~

2013年6月22日土曜日

第16回 謎の用語「ゲーム性」を説明してみた(1)~問題提起編


 ヒャッハー!かいぽんです。

 今回はゲームデザイナーが避けては通れない謎の用語「ゲーム性」についてのお話しです。ついにキタ!この話題!

 このブログでは、この「ゲーム性」という言葉に、完全かつ最終的な説明をつけよう~!と考えています。おおっ?! が、まずはその前知識として「ゲーム性」ってなんで謎の用語なの?という話からどうぞ。

あやふやな「ゲーム性」という言葉


 「ゲーム性」という言葉は、しばしばそのあやふやな定義が問題となり、過去長年ゲーム制作現場を悩ましてきました。

 ある著名ゲームデザイナーをして「安易にゲーム性という言葉を使うやつは信用ならん!使用禁止!!」とまでいわしめた逸話もあるぐらいです。


 ゲーム性が、高い←→低い
 ゲーム性が、深い←→浅い
 ゲーム性が、豊富←→乏しい
 ゲーム性が、複雑←→単純
 ゲーム性が、厚い←→薄い
 ゲーム性が、優れてる←→劣っている
 ゲーム性が、熱い!←→クソ!
 ゲーム性が、尖ってる←→ありふれてる etc.etc...

 「ゲーム性」をあらわす尺度だけでも豊富にあり、なにがなんだかよくわかりません。


 誰かが(しばしばディレクターやプロデューサーが)

  「ちょっと~、これなんだよ?!ゲーム性最悪だろおい」

 と言ったとき、なにをどう修正すればゲーム性が最悪ではなくなるのでしょうか?操作性?難易度?ゲームシステム?アイテム配置?さっぱり具体性が見えませんよね。

 「ゲーム性」という言葉が、あいまいな定義で濫用されることにより、開発現場でのコミュニケーションロスや作業精度の悪化など、悪影響が無視できないレベルで発生しかねないわけです。

 さすがに近年では「ゲーム性」という言葉の定義がある程度明確になってはいるものの、その使い分けの難しさゆえ、また個人ごとの解釈のブレなどもあり、依然として現場に混乱を呼ぶことは避けられていません。

 このように、「ゲーム性」という単語は、忌み嫌われ、頭の悪いバズワード扱いになっているのが現状です。



「ゲーム性」定義の歴史


 「ゲーム性」という言葉を定義するにあたって、過去に様々な議論があったようです。歴史をなぞるととてもとても長くなるので、手短に結論だけまとめれば、だいたい以下の6グループに分かれたかんじと理解しています。

  • そもそもまずゲームとはなんぞやという定義が必要なんじゃないの派(循環派)
  • 俺様定義ではこれこれこうだ派(俺様原理主義派)
  • みんなが勝手に俺様定義して乱立してるから定義すること自体にもう意味ないよ派(あきらめ派)
  • そんなの個人個人が勝手に定義すればいいじゃん派(個人尊重派)
  • もうめんどくさいから「ゲーム性」って言葉使うなよ派(使用禁止派)
  • 広義のゲーム性と狭義のゲーム性ってことで決着しなよ派(穏健派)

 ちょww俺w複数にあてはまるwwwって猛者の方もおられると思いますが、まあそれはそれとして。


ところで海外ではなんて言ってんの?


 海外には、そのまま「ゲーム性」に相当する言葉がありません。なんとびっくり!

 海外ゲームローカライズを数多く手がけている英語堪能なプロデューサー・長谷川亮一氏に聞いてみました。
「日本語の「ゲーム性」はあまりにも広義で直訳はありません。強いて言えば "gameplay" か "fun factor" あたりが近いかと。純粋にシステムに限定するなら "core game play mechanics" ですかね。」
 だそうです。英語はわかりやすくて混乱がなくていいですね~。海外ゲームの出来がいいわけですわ。

 なにしろコア・ゲーム・プレイ・メカニクス!ですからね。CGPM!かっくいいネ。


 今回は残念ながらここまで。
 さて次回では、なぜ日本ではこんなに混乱してしまうのか、そして「ゲーム性」の完全かつ最終的な説明とやらは何か。それを華麗に!わかりやすく!紐解いてみます。乞うご期待!

2013年6月21日金曜日

第15回 「おぼん効果」の不思議~命名はだいじだよ


 かつてぼくがタイトー時代に受講したある社員研修にて、つぎのような講義があった。


講師 「取引先のお客さんが応接室に来社したので、お茶出しをすることになった。

講師 「社員Aは、湯呑みを手で掴んでお茶を持っていった。

講師 「社員Bは、湯呑みをお盆に載せて運んだ。

講師 「どちらの社員も同じお茶を持っていったが、どちらのやりかたがより丁寧に見えますか?

    答えは、社員B。お盆に湯呑みを載せていった方が、明らかに丁寧なおもてなしですね。
    
    さてここで問題です。

     なぜ湯呑みをお盆に載せたほうが、手づかみよりも丁寧に見えるのでしょう?
    誰か説明できる人はいませんか?


受講者一同 「・・・・・(ざわっざわっ」


俺 「・・・それは、いわゆる”おぼん効果”・・・というやつですね


受講者一同 「し・・・知っているのか、雷電!」


 おぼん効果というのは、その場でひらめいた即興の造語である。そのとき命名した。


 おぼん効果仮説による説明では、社員Aの行為はおぼん効果指数が低く、社員Bのケースはおぼん効果指数が高い状態だといえる。そしておぼん効果指数が高ければ、丁寧さも比例して上昇するのである!


 ここで注意すべきは、そもそもお盆を持つと何故おぼん効果が増大するのか、という疑問である。これははじめの問いの変形にすぎない。すなわち問題がすり替わって循環しているだけである。しかしそれでもおぼん効果と命名するその価値はある。

 お盆による丁寧さ発生メカニズムの真相解明はともかく、お盆を持つ→丁寧さがあがるという現象に「おぼん効果」と命名したことで、問題と現象そのものの関連フレームが明確になり、さらにはまったく新たな角度からのアプローチを可能とするのである。

 すなわち、そこに第三の問いが生まれる。

 「おぼん効果」を上昇させる要因には、ほかに何があるのか?

 社員Bが女子社員ならおぼん効果は増大する。さらにはOL制服を着ていればより増大は大きい。メイドコスやバニーガール姿ならばさらなるおぼん効果の上昇が見込める。いっぽうで、くの一装束だとおぼん効果は減少するようにみえる・・・

 話がだんだんズレてきた。


命名することで取扱が楽になる


 湯呑みをお盆に乗せたほうが丁寧になる。このような複雑な概念・現象に、適宜に名前をつけることは、ゲーム開発現場ではとくに有用である。

 ・タイミングをあわせてボタンを押す行為を「目押し」

 ・格闘ゲームでジャンプで相手を飛び越えてガード方向の反対から攻撃判定を当てることを「めくり」
 
 ・走査線の1ラインごとにスクロールをさせる技術を「ラインスクロール」(カプコンでは「すじ流れ」と呼んでいるらしい。カプコンの用語はなぜだかへんてこ)

 ・CPUの計算時間が走査線回帰時間に間に合わないことを「処理落ち」(カプコンではなぜか「引きつり」と呼んでいるらしい。カプコンの用語は、おかしい)

 ・タイトーではレベルエディタを使ってレースゲームのコース上に看板などを置いていく作業を「田植え」とよび、そのためのレベルエディタツールを「田植機」と呼んでいた。


 などなど、ゲームの仕様や現象、開発工程そのものなどにそれぞれ名前を作り出し割り当てることで、みなの共通認識として浸透しやすくなり、開発チーム内でのコミュニケーションが円滑になる。

 すでに開発現場で一般化された用語はそのまま使えばいいし、手がけてるゲームに特有のものについては、勝手に分かりやすい名前をつけておこう。


まとめ

命名の重要性がどれだけ伝わったか、ぼくの稚拙な文章能力ではちょっと自信がないけど、わかっていただけたなら幸いです。

 さて、ここで例題タイム。

 いまゲーム業界をなやましている

 「おもしろいゲームが、かならずしもその面白さに比例して売れるとは限らない。(でも売れるゲームってたいていは面白い)」

 という残念な現象に、名前をつけるとしたら、どうする?
 



 ぼくのひとまずの回答は、「ゲームのハリウッド化」現象ですね。もっといい名前を思いついたひとは↓のツイッターボタンを押してツイートしてみてね!

 今回の話はどうだったかな。それではみなさんアスタルエゴ~

2013年6月19日水曜日

第14回 ゲームプランナーの「伝える技術」4つの基本


 こにゃにゃちは!かいぽんです。

 以前、ゲームプランナーに必要なスキルは、「考える」「伝える(共有)」「やる(実行)」「試す(トラブルシュート)」だ、という話をしました。

<参考エントリ>
第2回 ゲーム企画屋さんに必要なスキルとは(1)
第3回 ゲーム企画屋さんに必要なスキルとは(2)


 今回はそのなかの「伝える」技術のうち、4つの基本重要スキルについてのお話しです。

 ものごとをチームメンバーに伝え、その内容をチーム全体で共有するには、文書作成(ドキュメンテーション)がとても大事です。プランナーの仕事とは、この文書作成そのものである!と言っても過言ではないぐらい重要です。

 さて、この伝えるための文書作成における基本は、以下の4つに集約されると考えています。


<4つの基本>

  1. リストを作る
  2. 表を書く(マトリクス)
  3. 図を描く(チャート)
  4. 名前をつける(命名)

 プランナーの仕事とは、いってみればこの4つだ!これだけは絶対にできるようになっておけ!なにかに困ったら、この4つのうちのどれかで解決できるはずだ!というのがわたしの教えです。


1.リスト


 リストとは、つまり箇条書きです。直前に書いた上の4つの項目もリストです。リストに書く内容、つまりリストの種類はおもに2種類に大別されます。

 わかりやすいほうの種類からいうと、たとえばアイテムリストや武器リストなど、ゲーム仕様関わる内容のリスト。これらは「仕様リスト」といいます。ゲームの仕様概要を箇条書きにした文書なども、リストといえるでしょう。

 その他にもう1種類、タスクリストやバグリスト、発注リストなど、ゲーム制作のプロセスに関連する内容のリスト。個人的にはこれを「やることリスト」と呼んでいます。備忘録や更新履歴などもゲーム制作には欠かせないリストといえます。

 リストはおもにテキストエディタを使って記述します。エクセルを使う人もいますが、わたしはいつもテキストエディタです。
 ゲームプランナーは、とにかくなにをするにもまずこのリストを記述してから取りかかるのが基本中の基本の手順、といえます。すべての作業の第一歩がこのリスト作成です。

 なんでもかんでもまず箇条書きにしましょう。箇条書きにして悪いことはなにひとつありません!


2.表(マトリクス)


 表は表です。マトリクス表ともいいます。リストとリストの組み合わせが必要な事柄は、表に展開することで非常に簡潔に分かりやすく記述することができます。

 例えば以下の2つのリストがあり、それぞれ衝突判定があるとします。

自機の武器リスト

  • メインショット1
  • メインショット2
  • サブウェポン1(対地ミサイル)
  • サブウェポン2(対地レーザー砲)

自機以外のオブジェクトリスト

  • 空中敵
  • 空中障害物
  • 地上敵
  • 地上障害物
  • 敵弾1
  • 敵弾2
  • アイテム


 これを表に展開すると、たとえばこのようになります。(あくまでもサンプル例なのでゲーム的な内容についてはご容赦を)

表のサンプル

どうですか、このわかりやすさ感!さすがやでえ!

 この対応関係を、文章や箇条書きで説明するには非常に冗長になってしまいますが、表にすることで簡潔確実に伝わります。(サブウェポン2の対地レーザーは特別で、障害物を貫通して空中敵をもなぎ倒します!という例です)

 表は、エクセルやパワーポイントなどを利用して書きます。(上図はパワポで書きました)

 より実践的なテクニックとしては、一旦テキストエディタでタブ区切りで表組みを作っておき、エクセルにコピペして整形する、といった方法も有効です。

 なお、これら説明用の表のほかに、実際のデータ実装にエクセルを利用してプランナーが各種の表を作成するケースもゲーム製作現場では多くみられます。この場合は「伝える技術」というよりも実装の技術領域ですね。

 文章やリストの内容を、表のかたちに展開するスキルはとても重要です。

 また上記の、仕様説明以外にも、作業プロセスを表の形にして管理するケースもあります。

 たとえば、ステージ制作の作業工程(仮モデリング→コリジョン作成→イテレーション→本モデリング→テクスチャ作成→ライティング)などの進捗を各ステージごとに管理するには、リストでも可能ですが、表形式にしたほうが便利です。


3.図(チャート)


 図を使って説明したほうがよい事柄、UIの指示書、ゲーム進行のフローチャートなどは、簡単なチャート図を使って伝達するのが簡明確実です。
じゃんけんの関係のチャート図サンプル

 手書きのポンチ絵でもいいのですが、おもにはパワーポイントやエクセル、VISIOなどのツール類を使って作成するのが主流ですね。

 じゃんけんの関係は文章で説明してもシンプルなので、このぐらいのことをわざわざ図に描くかどうかは作業コストとの相談になりますが、より複雑な関係でもシンプルな図に展開できれば、伝達コストは大幅に圧縮できます。

 また、ゲーム進行を記述するフローチャートは超重要です。ゲームプランナーたるものフローチャートは絶対に書けるようになっておきましょう。まあそんな難しいものではないですが。


4.名前(命名)


 名前といっても、キャラクター名やアイテム名を考えることではありません。たとえばさきほどの「じゃんけんの関係」というのが、ここでいう「名前をつける」ということに該当します。

 格闘ゲームで、敵を飛び越えてガードの裏から攻撃することを「めくり」と呼ぶ。
 レベルエディタで、樹木やギミックを置いていく作業のことを「田植え」と呼ぶ。(昔のタイトーではw)

 これらはすべて、名前をつけることによって、わかりやすく説明できる例です。

 複雑な仕様や作業に適宜なわかりやすい名前をつける、命名することで、その後のハンドリングが非常にしやすくなります。

 ほかにも、よくあるわかりやすい例では、「新機軸!ほにゃららシステム搭載!!」とかの名前といってもいいでしょう。セールストークになるならないはまったく別の問題ですが、すくなくとも開発チーム内ではこれらの呼び名があることによって、コミュニケーションのロスが大幅に防げます。

 名前をつける、意外と重要です。


まとめ


 よく出来たプランナーは、企画書や仕様書に文章をほとんど書きません(シナリオライターは別ですがw)。

 リスト、表、図、命名の4つのツールですべてを説明するのが訓練されたプランナーというものであります。

 ゲーム仕様を文章に書いて説明するのは下策であり、リストや表図に展開して簡潔に伝えるのが上策というものです。そもそも3行以上の文章書いてもだれも読まないし!


 今回は、伝える技術のお話しでした。いかがでしたでしょうか。文章だとやっぱり説明が大変ですね。
それではみなさままたお会いしましょう。ばいなら~!

2013年6月18日火曜日

第13回 アイデアとは、目的と手段のタペストリーだ~アイデアの正体とは(5)


 こんちゃーす!おひさしぶりでございます。
今回のネタは「アイデアの正体」シリーズ最終回!

 アイデアとは、目的と手段が織りなすタペストリーだよおっかさん。

というお話しであります。
これまでのINDEX
その1 アイデアの正体とは(1)
その2 良いアイデア、悪いアイデアの見分け方~アイデアの正体とは(2)
その3 アイデアはタコ足なのよね~アイデアの正体とは(3)
その4 目的が先か、手段が先か、それが問題だ・・・~アイデアの正体とは(4)
今回(最終回)→ アイデアとは、目的と手段のタペストリーだ~アイデアの正体とは(5)

エジソンの電球


 これまでご説明してきた「アイデアとは目的と手段の組み合わせ」。これを、またまたエジソンの電球を例にとってみましょう。

白熱電球を作って夜を明るくする
エジソンの電球

 目的は夜を明るくすること、その手段は白熱電球を開発すること、です。さて当時の電球といえば、すぐに燃え尽きてしまい、とても実用的といえるものではありませんでした(電球そのものはエジソンの発明ではなく、当時すでに存在していました)。白熱電球をつくるといっても、ほいっと簡単につくってはいすぐ照明に使える!というわけにはまいりません。

 ここにエジソンの発想の偉さがあります。エジソンはすぐに切れる電球をなんとか長寿命化し、白熱電球による夜間照明を実現しようという、イノベーションを画策したのであります。


チャンクダウン


 ある手段があったとき、その手段を目的としてさらに下層の手段を発生させることができます。
この場合、「白熱電球をつくる」という手段が目的に変化して、さらに下層に「長寿命化する」という手段を生み出しています。

白熱電球を長寿命化する
下層の手段が生まれる

 さて、ここで「長寿命化する」という手段もさらに目的化して、もう一段下層の手段を生み出してみましょう。

さらに下層の手段を生む

 ガラス球を真空化し、さらに京都の竹を使うなどフィラメントを工夫する、という手段が生まれます(実際には試行錯誤のすえ生み出されたわけですが)。この場合の手段はタコ足、ひとつの目的から複数の手段が生える、になりました。

 このように、手段を目的化してそれを達成するための手段を掘り下げていくことを、専門的には「チャンクダウン」「ブレイクダウン」などと称します。なおぼくはチャンクダウンと呼ぶ方が好きですね。なんかおいしそうだから。


ボトムアップ


 チャンクダウンとは別に、目的を手段と捉えてさらに上位の目的を見出していく、こともできます。これを「ボトムアップ」といいます。(なおこの言い方はあんまり好きじゃないんで、もっといい表現ないかな)

 今回のエジソンの電球の例でいえば、目的「夜を明るくする」とは、いかなる目的の手段たりうるのか?と問うことがボトムアップです。その答えとしては「世の中を豊かにする」という新たな目的につながります。

 さらに「世の中を豊かにする」という目的を手段とし、ふたたびボトムアップしていけば「ワシが儲ける」だったり「オレ様の天才を証明する!」だったりに行き着きます。

ボトムアップしていく



 余談ですが、さらにこれらの目的を手段とし、さらなる上位の目的を見出すボトムアップを繰り返していくと・・・、最終的には「宇宙平和」だとか「神への挑戦」だとか、哲学やら宗教やらの領域に行き着くのでオススメしません。ボトムアップはいいかげんなところでやめておきましょう。


ボトムアップからの~、チャンクダウン!


 ボトムアップした目的からまったく新たな手段を生み出すことができます。これが必殺技のボトムアップからの~チャンクダウン!です。(個人的にはアイデアドリフトと呼んでますが)

 エジソンの例でいえば、世の中を豊かにする(目的)に対しては、蓄音機をつくったり(手段)、映写機を発明したり(手段)、電話を開発したりすること(手段)も、夜を明るくすることにおなじ「手段」になります。

 そういえばエジソンは、そのライバルであるもうひとりの天才技師ニコラ・テスラとは対立していました。テスラの野郎をぶっつぶすには、直流電流の最強を証明するのが最適です。そのためエジソンは交流電流をつかった動物処刑実験を画策したりとかしてたそうです。

 そういった話を図にすると、以下のようになります。

エジソンの脳内メーカー??

 エジソンが実際にはどのような発想をして数々の発明をおこなったのかは知りません。これまでのはなしはすべて個人的な想像です。今回はこの図が正しいかどうかは問題ではなくて、このようにロジックツリーに展開して考えるのがだいじだよ。というサンプルですので、そのへんご留意ください。

 なお、ボトムアップからの~チャンクダウン!と同様に、そのまったく逆を行う、チャンクダウンからの~ボトムアーップ!という技もあります。これもアイデアドリフトの一種。
 上の図でいえば、交流で処刑実験という手段から「見物料をとって見世物小屋を経営する」みたいな別の目的を見出す技ですね。


まとめ


 アイデアとは、目的と手段が織りなすタペストリーだよおっかさん。

アイデアツリータペストリー


 すばらしいアイデアを生む作業とは、このようなアイデアツリーのタペストリーを織り上げていく作業にほかなりません。

 ・手段を目的化して掘り下げる、チャンクダウン
 ・目的を手段ととらえ上位目的を見出す、ボトムアップ
 ・ボトムアップしてから新たな手段を見つける、ボトムアップからの~チャンクダウン!
 ・生み出された手段から新たな目的を見出す、チャンクダウンからの~ボトムアーップ!

 この4つの技を使いこなして、みなさんも自分の「アイデア」を織り上げていきましょう。わたしもいつも使ってます!


おまけの余談


 アイデアタペストリーは「マインドマップ」に似てますね。でもマインドマップは、チャンクダウンには強くてもボトムアップには弱い、という点が残念です。多くのマインドマップはトップから書き始めることを推奨しているようですので。適当な中間点からスタートできればいいのですが。
 ましてやボトムアップからの~チャンクダウン!などの必殺技に対応してるマインドマップツールってちょっと見たことがないかもです。もっとも使い方を工夫すれば似たようなことは可能かもしれません。
 アイデアタペストリーを描くための強力なツールの登場が待たれますね。


 今回のお話しで、アイデアの正体シリーズ全5回は終了です。長かった・・・。みなさまおつきあいありがとうございました。どうでしたか面白かったでしょうか。


 それではみなさままた会いましょう、ばいちゃ~!

2013年2月1日金曜日

第8回 「スイミング・プール」にF2P(フリー・トゥ・プレイ)の真髄をみた!


 金沢に「金沢21世紀美術館」という現代美術館がある。

 多くの公立美術館が赤字経営で苦しむなか、この21世紀美術館は2004年のオープン以来毎年のように200万人以上の入館者数を集めており、地方公共団体が運営する美術館のひとつの成功モデルとして有名となっている。

 美術館の建屋自体がひとつの現代アートといったかまえで、円形の建屋の周囲全面がガラス張りで未来感溢れたつくりとなっており、内外部からの見通しよく、またその敷地も塀壁ない開放的な芝生の空間となって周囲の街並みのなかに佇んでいる。

金沢21世紀美術館
金沢21世紀美術館
建屋内より

 この美術館の特筆すべきは無料開放ゾーンの充実ぶりである。美術館内のかなりの部分、数多くのアート作品が無料ゾーン内に展示されており、その開放的な敷地の雰囲気とも相まって市民のだれもが気軽に立ち寄り、アートに触れることができるよう配慮されている。

 全体としてこの21世紀美術館は、現代美術アートというよりはいっこのアミューズメントパーク的な趣きがあり、美術に興味のない方や子供たちにもなかなかに楽しめるつくりになっている。みなさまにおかれましても金沢を訪れた際には、ぜひ立ち寄られたい。



 スイミング・プール


 その21世紀美術館の恒久展示品のひとつにレアンドロ・エルリッヒ作「スイミング・プール」という作品がある。

スイミング・プール
レアンドロ・エルリッヒ 「スイミング・プール」

 一見するとへんてつのない小さなプールであるが、よくみると中に人?人が??
ええ~?どうなってんの??

 というアートなのであります。

 いまひとつ解説をすると、このプールの上側(写真の撮影位置)は無料ゾーンに含まれていて、タダで見ることが出来ます。

 しかしながらプールの下側に行くには、企画展または特別展の有料チケットを買わないと立ち入れません見るだけなら無料だけど、プールの中に行くには有料だよ~。てな仕組みになってます。



 これはまさにゲームでいうところのF2P(フリー・トゥ・プレイ)ではなかろうか?


 と思いませんか?すごいよね。美術館で。

 この展示をよく見てみると、プールの上にいる無料プレイヤーと、プール内にいる課金プレイヤーとが、水面越しにお互い手を振り合ってコミュニケーションとったりして楽しんでいます。

 無料プレイヤーと課金プレイヤーの両方がいることではじめて成立すると、そんなインスタレーションになっているのです。(こういう展示物は21世紀美術館でもこのプールだけです!)


 すなわち期せずして、課金プレイヤーがいなければ成り立たない展示物、となっているわけです。

 ここで注意していただきたいのは、これは一般によくいわれる、「お金を払ってるプレイヤーがいるからこそ商業的に運営がなりたち、ために無料プレイヤーも楽しめる」、という文脈とはまったく異なっているという点です。

 というのも、無料プレイヤー側からしてみれば、課金プレイヤーが水の底に沈んでいるのを見てアッヒャッヒャwwwとかいって楽しむ作品であり、もし課金プレイヤーがいなければ(水底に誰もいない状態を想像してみてください)、単なる何の変哲もないプールにしかみえません。「これじゃ出来損ないだ。アートにならないよ」(山岡士郎風)ということになってしまいます。

 そして水底にたむろしてる課金プレイヤーを見て、「自分もそこへ行ってみたい」というモチベーションが無料プレイヤーにも生まれるわけですが(これはわりと普通の導線ですね)、さてお金を出して課金プレイヤーとなって水底に行ったならば、こんどは上を見上げて無料プレイヤーと戯れなければ今一歩楽しくないわけです。

 このような意味で、無料プレイヤーと課金プレイヤーが互いに互いを見世物とする構図が生まれ、両者がともに存在しているからこそ、両者ともが楽しめる、という寸法になっているのです。


 そこにこそ僕はF2P(フリー・トゥ・プレイ)の理想形を感じました。


 重ねて強調しますが、特に課金プレイヤーが無料プレイヤーにとっての見世物コンテンツになる、という点は、実に平和的?でたいへん素晴らしい仕組みではないでしょうか。

 この構造を実際のゲーム設計として組み込むことは実現の難しい課題といえますが、すくなくともF2Pの未来になにかしらのありようをみた思いであります。


おわりに


 今回のお話しはいかがでしたでしょーか。普段とは違う硬い書き出しで始まってどうなることかと思いましたが、それはさておき、美術館ひとつとっても、ゲームデザインのヒントになることがけっこうあるものですね~。 

 さて、かように21世紀美術館は素晴らしい施設で、「スイミング・プール」以外にも、数々のたのしげな展示品があります。金沢を訪れた折にはマジぜひ行ってみられるといいかと思います。場所も金沢城や兼六園のすぐ隣だから行きやすいしね!ぼくもしょっちゅう行ってるよ!

 あ、あとね。この「スイミング・プール」、雨がふっちゃうと上側(無料ゾーン側)は立ち入り禁止となります(滑るかららしい)。訪れる際には天候にもご注意ください。(他の展示物は雨でも大丈夫ですが、屋外展示もあるので晴れるにこしたことはありません。)

 それではみなさんダスビダーニャ!


金沢21世紀美術館公式サイト

2012年12月12日水曜日

第12回 目的が先か、手段が先か、それが問題だ・・・~アイデアの正体とは(4)

 こんばんわんこ!かいぽんです。
だいぶ更新の間があきました。みなさまお元気ですかー。今回は、アイデアの正体シリーズ第4回になりますよ~。
これまでのINDEX
その1 アイデアの正体とは(1)
その2 良いアイデア、悪いアイデアの見分け方~アイデアの正体とは(2)
その3 アイデアはタコ足なのよね~アイデアの正体とは(3)
今回→ 第4回 目的が先か、手段が先か、それが問題だ・・・~アイデアの正体とは(4)


 さてさて。「アイデアとは、目的と手段の組み合わせである」と、これまで言ってきました。

アイデア基本形の図


 みなさーん。よいアイデアを考案するにあたっては、


目的のためには手段を選ばず!


という乾坤一擲の気概が必要です。これはわかりやすいですね。
しかしその一方で、


手段のためには目的を選ばず!


という考え方も成り立ちます。

 ・・・んんん? じゃあ、アイデアを整えるときって、目的と手段とどっちを先に決めたほうがいいの???という疑問が当然のように湧いてくると思います。

 鶏が先か卵が先か・・・ 気に入った女性だから好きになるのか、好きになったから気に入るのか・・・、卵と恋愛は難しい・・・ なんだか考えていると青春の苦悩に突入してしまいますね、これは困った。


 しかし安心してください。その結論は簡単です。


目的と手段、どちらが先でも構わないッ!


 これですよこれ。
 要は「目的と手段の組み合わせ」がどれだけ合理的にフィットしているかだけが重要なのです。その点だけでいえば、どちらが先に来ても構いません。そのほうが柔軟な発想ができますし!


■手段に目的を合わせるのもアリだ!


 目的のためには手段を問わず!という考えかたはごくまっとうですよね。反面、手段のためには目的を問わず!というと、なんだか本末転倒ってイメージがあると思います。でもね、世の中にはそれで成功したケースってのがけっこうあるのです。

 
 かつてぼくがデザインした『キャメルトライ』というゲームでの実例をご紹介しますね。

 どんなゲームか知らない方は →こちらの動画で把握!



 『キャメルトライ』は画面を回転させてボールをゴールに導くゲームです。このゲームを発想する際に最初に頭に浮かんだのは、”回転スクリーンを使って迷路を回転させる迷路ゲーム”ということでした。つまり、”画面を回せ!ボールを転がせ!”という手段のみがあった状態でした。

 ちなみに回転スクリーンっていうのは、2Dの背景スクリーンを回転させることができる当時最新鋭のハードウェア技術のことです。

 さて、画面を回すのはいいですが、このままではこれはアイデアとして成立していません。単なる”思いつき”のネタレベルでしかありません。

 (あるいは、”回転スクリーンを使ってなんかおもろいことをする”という、見えないインビジブルな目的が設定されている状態です。たしかに回転スクリーンで回せるのはおもろいですけど、この目的は典型的な”作り手の都合”、”技術のみせびらかし”であって、商品としての目的としては弱い状態です)


 そこでぼくは、”画面を回す”という手段はそのまま生かした状態で、”レースゲーム”という目的を設定しました。(正直にいうと天才マーク・サーニーの名作『マーブルマッドネス』からインスパイアを得たわけですが)

 かくして、『キャメルトライ』はタイムレースという目的を得て、制限時間内にスタート地点からゴール地点まで走破するゲームへと昇華されました。後付けの目的と、最初からあった手段の、素敵なマリアージュとなったわけです。えっへん!(自画自賛)

 ちなみにタイムレースっていうゲームデザインは、ビデオゲーム黎明期から存在する非常に古い手法です。
 画面を回転するという(当時としては)新しい手段と、タイムレースという古いありがちな目的を組み合わせた点でも、『キャメルトライ』はヒットするアイデアの条件を兼ね備えたものでした。今思えば。(参照→第2回 良いアイデア、悪いアイデアの見分け方~アイデアの正体とは(2)



■まとめ


 目的が先か、手段が先か、どちらが先かをこだわることに意味はありません。目的は手段のために!手段は目的のために!こだらわずにベストマッチする組み合わせを考えましょう。

 そのときにキーとなるのは、ズバリ直感です。ええ~?!ここにきて直感・・・だと・・・?!

 いえいえ、目的が主で手段が従なのか、それとも目的が従で手段が主なのか、その判断は直感で行なうのです!

 先の『キャメルトライ』の例では”手段が主”です。”画面を回す”という手段が主だ、これだけは絶対に変えられない!と、ぼくがそう判断した合理的な理由はなにもなく、直感以外のなにものでもありません。直感を強く信じよう!


 そのうえで、従たる目的は、あるいは従たる手段は、主のほうを生かすためにどんどん取り替えろ!っていうのがぼくのおすすめするアイデア発想メソッドです。

 そういう意味で、目的と手段、どっちが先にあっても(どっちが主でも)、アイデアの世界ではどちらでも構わないのであります!(恋愛でもね!)


 今回のお話しはおもしろかったでしょうか~。なにかみなさんの参考になれば幸いです。
さて次回はいよいよアイデアの正体シリーズの最終回!ここまで長かったね!
デザインとは、アイデアが織りなすタペストリーだ!ってお話しをしますよん。

 それではアスタルエゴ~!


2012年11月22日木曜日

第11回 アイデアはタコ足なのよね~アイデアの正体とは(3)

 うっほほ。かいぽんです。
すこし更新の間があきました。みなさまお元気でしょうか。今回は、アイデアの正体シリーズ第3回になります。アイデアのカタチのバリエーションについてお話ししようとおもいますー。
これまでのINDEX
その1 アイデアの正体とは(1)
その2 良いアイデア、悪いアイデアの見分け方~アイデアの正体とは(2)
今回→ 第3回 アイデアはタコ足なのよね~アイデアの正体とは(3)


 さてお約束の毎回のおさらいですが、アイデアとは


アイデア = 目的 + 手段


 であります。重要だから何度でも書きます。
このように、アイデアを目的と手段に分割したものとして考えることにより、アイデアを評価したり発展させたりなどがロジカルかつ手軽に行えて超便利だよ!というのがぼくの推奨しているメソッドになります(*^▽^*)

 さて、それを図に書いたものが、前回からご紹介しています、下図になります。

アイデアツリー基本図

アイデアツリーのバリエーション


 勘の良い方はもうお気付きでしょうが、この目的と手段は、必ずしも一対一で対応するわけではありません。

 あるひとつの目的を達成するために、複数の手段を組み合わせるなどといったことはよくありますよね。こんなかんじで。

アイデアツリー基本図 「タコ足」

 手段が「タコ足」のように目的にくっついているイメージですね。

 例えば仮に、「ソニーがアップルを叩き潰しかつての輝きを取り戻す!」という目的がある場合、その手段として

 「素晴らしいPlayStationウォークマンフォンを開発する」
 「素晴らしいPlayStationVAIOブラビアを開発する」
 「それらをシームレスに統合したネットサービスを開発する」

といった複数の手段を実行しなければなりません(架空の例ですよ、あくまでも!)

 そういったケースの場合、目的に対して上図のよう複数手段がどんどんぶら下がる形になります。


 さて、タコ足とは逆に、ひとつの手段で複数の目的を達成できる、といったケースもあり得ます。

アイデアツリー基本図 「一石二鳥」

 いわゆる「一石二鳥」のイメージですね。

 例えば仮に、「はらへったので吉野家で牛丼でも食べるかツユダクの!」という手段があった場合、

 「空腹を満たす」
 「お金を節約」

という2つの目的が同時に達成できます。まさに一石二鳥!

 一石二鳥型のアイデアは美しいですね。むろん一石三鳥でも四鳥でもいくらでも同時達成して構いません。美しいだけになかなかそんなアイデアにはお目にかかれませんけどね!
 

まとめ


 このように、「アイデア」というものを、目的と手段のカタチに分解し、それがどんなカタチになるかそのパターンを把握するようにしましょう。アイデアを明確化したり、整理したり、有用性を自覚したり、などがやりやすくなっていくと思います。

 アイデアとは、目的+手段だけど、そのかたちは一定ではない。ということが、今回のポイントです。今回はシンプルな例のみの話でしたが、「タコ足」タイプと「一石二鳥」タイプが融合したような複雑なパターンを描くアイデアツリーというのも存在しえますね!


 さて、今日のお話しはどうでしたでしょーか。なお次回は、目的が先か、手段が先か、それが問題だ・・・。というようなことを書こうかな!と思ってます。それではみなさん、まったねー!

2012年11月14日水曜日

第7回 初心者の気持ちになれ!かんたんテクニック


 「わたしがかいぽん大佐である。本日は諸君らに、アクションゲーム制作において開発者本人が初心者プレイを簡易的に再現する、そんなサバイバルテクニックを伝授する。口を開く前と後にサーをつけろ!」


  「サー、イエス、サー!」


 「そのまえにだ。いわゆる初心者には2種類のタイプが存在する。わかるか?誰か言ってみろ!」


  「サー!そのゲームにおける初心者Aと、テレビゲーム自体をあまりさわったことがない初心者Bの、2通りであります。サー!」


 「・・・・、よろしい、気に入った。うちへ来てとびだせどうぶつの森をダウンロードしていいぞ。
  
  さて、一般的にいって、ゲームプレイヤーがアクションゲームにおいて、なにかしらの操作行動をとるとき、そのプロセスは3段階に細分化できる。知っているな。言ってみろ、腹から声を出せ!」


  「サー!まずゲーム画面からゲーム状況を把握する、次になにをするか脳みそで判断する、そして判断どおりにコントローラを操作する、の3段階であります。サー!」


 「・・・・、よくできた糞袋だ!見どころがある。うちへ来てパズドラの超級ダンジョンをクリアしていいぞ。

  いいかよく聞け、初心者にミスをさせるのは簡単だ。すべての行動がのろいからな!ゲーム状況の把握から判断までの2段階にまず1.5秒はかかる。最低でも1.5秒かかると思え。そして初心者は判断どおりの操作もできるとは限らない。間違える。それどころかもともとの判断からして間違ってることが多い!わかったか返事をしろ!」


  「サー、イエス、サー!」


 「タマが自機に向かってきて動かないやつはズブの初心者Bだ!逃げるやつはよく訓練された初心者Aだ!ほんとゲーム序盤は地獄だぜ、フゥーハハハー!」


  「サー、フゥーハハハー、サー!」


 ・・・。

 こんにちは、かいぽんです。この調子で文章続けるのはやっぱり大変なので、ふだんの文体に戻します(^_^;)
 今回は、難易度調整に関わるお話しです。ゲーム序盤の難易度を初心者向けに簡単にしておくための、ぼくが普段行なっているテストプレイ上のちょっとした実戦テクニックを紹介したいとおもいます。特にアクション系ゲームの制作を対象としたものとなります。

 まずは、その必要性の前説からどうぞ。


難易度調整の実態


 アクションゲームの制作中には、開発者は死ぬほどテストプレイを行います。それこそ同じ面を100回とか1000回とか遊びます。当然ですが、しぜんプレイの腕が熟練していきます。そうなると、いまプレイしてるステージの難易度がいったい難しいのか簡単なのかだんだんとわからなくなり、ゲシュタルト崩壊して感覚が麻痺してくるようになります。(そしてたいていはゲームが難しすぎる状態になっていく傾向にあります)

 これが高次ステージなら多少難しくなってもまあ許容範囲なのですが、ゲーム序盤の場合には問題です。序盤が難しすぎるとなると(開発者本人たちは簡単にしたと思っていてもね!)、初心者はそこでつまづきます。こうなると困ります。

 ゲームを作りこむほど同時に難易度も高くなってしまうという自然現象を防止するために、ゲーム序盤を制作期間の一番最後になってから作る!という手法も存在しているぐらいです。とはいえ、しかしふつうはいろいろな理由で、ゲームは序盤から作り始めまることが多いでしょう。

 で、通常はモニターテストなどを繰り返し、難易度を適切に調整していくわけですが、モニターテストもそう頻繁に行えるわけではありません。コストがかかるからね!
 あるいはあまりゲーム慣れしていない社内の事務員の女性などにテストプレイしてもらうとか、家に持ち帰って嫁に遊んでもらう(いわゆる「嫁テスト」)だとかの方法もあるのですが、そういった”身の回りの初心者”もいずれは枯渇していくので、モニターテスト同様ここぞというときにしか使えません。

 そういった数少ないモニターテストのチャンスでバチッと適正に難易度を調整することが、最終的には開発費のコストダウンとゲームの品質向上につながります。そのためにはできるだけモニターテストの前段階で、ある程度目的の難易度に近い状態となっているように(つまり適正な低難易度状態を)キープしておくことが重要となってきます。

 いやあ前説が長かったですね。スミマセン。ここまで読んでくれてありがとうございます。いよいよここからが本編です。


初心者のへっぽこプレイを模倣する


 さてそういうわけで、ぼくの場合はゲーム序盤がいつのまにか難しくなりすぎていないか、定期的にチェックするようにしています。しかし自分自身はすでに熟練プレイヤーになっているので、さてどうするか。
 そのときに行なうのが、ハンディキャッププレイです。己のプレイに制限をつけることで、初心者の判断速度や操作ミスを模倣する、という方法を試しています。つまり初心者のフリをするわけですね。その方法はいくつもあるのですが(あるいはゲームに合わせてその都度適当に編み出すこともあるのですが)、そのうちの代表的な、アラ不思議いつでも誰でも初心者気分を味わえる、そんなステキな技を紹介します。

 なお参考までに、仮にあなたがスーパーマリオブラザーズの1−1をテストプレイする、というような状況を想像しつつ読んでいただくと、よりイメージしやすいかと思います。(マリオがお嫌いなら、お好きなアクションゲームを想定していただいて構いません)


1.逆さプレイ
 コントローラを逆さまにもってプレイします。初心者の判断速度の遅さと操作ミスを再現しやすいです。

2.クロスハンドプレイ
 両手をクロスさせて、左右逆の手でプレイします。コントローラは机などに置きます。判断速度の遅さを少しだけ模倣できます。操作ミスもたまにでます。プレイしながら通常持ちとクロスプレイを交互に入れ替えるという派生技もあります。

3.片手プレイ
 片手だけでプレイします。両手を協調させて同時操作することができない(レバー+ボタンの組み合わせ操作のタイミングがズレる)という初心者にありがちな現象を強制的に起こします。なお派生技として、右手の親指で十字キーを担当、小指でボタンを押す、みたいなバリエーションもあります。まあ最近のスマホゲームだと片手プレイが基本なんで使えませんけどね!

4.ガチャガチャプレイ
 何秒かに一回、定期的に十字キーやボタンをめちゃくちゃにガチャガチャっと押します。なにをするかわからない初心者特有の謎判断や謎操作などの再現です。

5.足プレイ
 コントローラを床に置いて、足でプレイします。ちょっとお行儀がわるい。なおこれはぼくの性癖を表してるわけではないので念のため。あと当然ですがダンスダンスレボリューションには向きませんので念のため。

6.手首プレイ
 コントローラを机に置き、手首だけをつかって操作します。繊細な操作がきかないのと、ボタンがうまく押せない状況をシミュレートできます。実践例としては、キャメルトライの制作中、パドルを手首だけで操作して実際に試してました。

7.まばたきプレイ
 ゆっくりまばたきしながらプレイします。まばたきの頻度や目を閉じてる間隔は適宜に。画面状況を把握するのに時間がかかる初心者特有の状態を擬似的に再現します。まさに「目をつぶってでもクリアできる」という状況を実践するわけです。

8.飲酒プレイ
 職場ではあまりおすすめしません。

9.手放しプレイ
 何秒かに一回、定期的にコントローラから手を放します。どうしていいかわからなくてぼーっと立ち尽くす初心者の状況を再現します。

10.複合プレイ
 上記のいくつかを同時にあるいは切り替えつつ複合的におこないます。ただしある程度慣れないと実施そのものがむずかしいです。


 これらのハンディキャッププレイでは、初心者特有の状況判断の遅さや操作の拙さをある程度再現できます。そしてその状態でもなんとかクリアできるかどうか、などを自己判定します。
 ただし、どのぐらいハンディをつければ適切か?という加減は、やはりある程度の経験と勘が必要となります。その経験と勘は、モニターテストで実際の初心者のプレイ(と手元)をたくさん見ることで培われます。
 なおぼくは物理量の目安としては、初心者が状況判断にかかる時間はおおむね1.5秒ぐらい、ということを念頭においてハンディプレイを加減しています。参考までに。

 

まとめ


 むーぅ、これはいったい本気なのかネタなのかわからん!という感想をもたれた方もいるかもと思いますが、冗談ではありません、アホに見えるかもしれませんがいたって真面目です。すくなくともぼくはこれ本気で実践しています!
 まあ実際にどれだけ効果があるかは、正直いってなんともだったりもしますが(弱気)。ですがハンディキャッププレイを実施することで、初心者のフレッシュな気持ちに近づけることは近づけます。これ重要かな、と。

 以上、よそでは聞けないひみつの実戦テクニック紹介でした。どでしたでしょうか。
それじゃあ、まったね〜!

2012年11月12日月曜日

第10回 良いアイデア、悪いアイデアの見分け方〜アイデアの正体とは(2)

 こんちゃーす!かいぽんだよ。

 今回は、以前投稿したエントリ「アイデアの正体とは」の続編となっております。なお、このシリーズは今回も含めてあと3回ぐらい続くっぽいよ(たぶん)。長編だなー、たいへんそう・・・。

前回のおさらい


 前回は、 

アイデア = 目的 + 手段

という話をしたのでした。これを図で表すと、このようになります。

アイデアツリーの基本形
アイデアツリーの基本形


 この図はとってもシンプルですが、今後も何度か出てくる基本形なので、ぜひ覚えておいてくださいね!



アイデアの良し悪し


 あるアイデアがあって、そのアイデアが良いか悪いかなんて、ぶっちゃけ見りゃあすぐわかるだろ・・・まあそのとおりなんですが、良いものにせよ悪いものにせよ、次にその評価を人に伝えなければならないことがほとんどです。
 そのときに、なぜそのアイデアが優れているか(あるいは見所がないか)を、理路整然と説明できねばなりません。判断はフィーリングで行なったとしても、説明はロジックでないと、説得力が出ないのです。

 そこで、手順立ったアイデア評価手法が有用になってきます。発想はゲームデザイナーにとって重要ですが、アイデアを的確に評価するちからはもっと重要です。


アイデアの形式になっているか判定する


 その”アイデア”が、目的と手段に分割されているかどうか判定します。どちらかあるいは両方に欠けてるようなら、可能な範囲で補足するなりして、とにかく目的+手段の形に整える必要があります。
 もしそれができないなら、そいつはアイデアの体をなしてませんから、評価以前の問題です。その”思いつき”は、一旦心の引き出しにしまっておくか、ゴミ箱にぴゅーです。


 前回はコロンブスの卵を題材にしましたが、今回はエジソンの電球が題材です。白熱電球を作るぞ!というエジソンのアイデアは、次のような目的と手段で構成されています。

エジソンの白熱電球のツリー
エジソンの白熱電球


 ちなみに白熱電球を発明したのはじつはエジソンじゃなくて、エジソンは白熱電球を長寿命に改良して実用化した人なんだって。へー。


アイデアの評価方法


 ちゃんと目的+手段というアイデア形式になっていたら、そこでやっと評価が可能となります。その評価は次の2段階で行えます。

 第1関門:アイデアとして論理的に成立しているかどうか?
 第2関門:そのアイデアがどのぐらい目新しいか?

 本当はアイデアの現実的な実現性とかコスト対効果だとか市場性だとかも評価基準になってくるとは思いますが、そこまで踏み込んだ判断は個別案件となっていくので、ここではその前段階として、そのアイデアがどの程度斬新か?(見込みがあるか?)ってところまでの評価手法の説明にとどめまーす。


1.アイデアとして論理的に成立してるかどうか判定する


 目的と手段の組み合わせが、ちゃんと整合性をもって成り立っているかどうか。これをチェックするフェーズです。
 この判定は簡単で、目的+手段の流れを逆さまにすればチェックできます。わお!

逆さまにしてチェックする


 その手段(過程)で目的(結果)が達成できる、という因果関係が成立していれば第1関門はパスです。
 もしここで論理矛盾を起こすなら、これもまたアイデアとしては成立しませんので残念ながらゴミ箱にぴゅーです。


2.そのアイデアがどのぐらい目新しいか評価する


 畳とアイデアは新しいほうが良い!「目新しい=良いアイデアに違いない」という基本原理に従った判定を行いますよ!まあほんとは一概にはそういえないかもですが、こまかいことは言いっこなし!

 ということで、そのアイデアの新規性を評価するにはどうするか。

 それにはアイデアを構成する目的と手段の両者について、それぞれ陳腐(ありがち)なのか、斬新(目新しい)なのかを見ていけばよろしいです。
 その組み合わせは以下の4つのケースに大別されます。(陳腐さや斬新さにはアナログな段階があると思いますが、話を簡単にするためにここではデジタルで考えます)

 A ありがちな目的 + ありがちな手段
 B ありがちな目的 + 斬新な手段
 C 斬新な目的 + ありがちな手段
 D 斬新な目的 + 斬新な手段

 以下にそれぞれのケースの具体例や見込み度を解説します。

A ありがちな目的 + ありがちな手段
 普通です。”シューター向けに弾幕シューを作る”みたいなごく一般的なタイプのアイデアです。悪くはないですが良くもない。新規性はないかなー。というかんじです。現状の市場規模以上のヒットはない、そんなタイプです。

B ありがちな目的 + 斬新な手段
 見込みがあります。ちょっと新しい。エジソンの白熱電球はこのタイプのアイデアです。(当時すでにオイルランプやガス灯は存在していたが、電気で明るくするところに新規性があった)
 市場シェアを奪ったり、市場自体を押し広げるようなヒット商品はこのタイプのアイデアが多いです。新しさと手堅さのバランスがとれてるタイプといえるでしょう。

C 斬新な目的 + ありがちな手段
 やや見込みがあります。いわゆる任天堂がいうところの”枯れた技術の水平思考”がこのタイプです。このタイプのアイデアは、ハマれば新しい市場を生み出し、爆発的大ヒットする可能性もあります。ただしコケるときは盛大にコケます。目的の斬新さに依存するでしょう。

D 斬新な目的 + 斬新な手段
 注意が必要です。一見新しいことづくめで良いような気がしますが、ちょww斬新すぐるwwwという結果になりがちです。たとえば3Dテレビとかですね・・・(合掌
 ただ、ウォークマンなどのように、人類の歴史を変えるようなヒットになる可能性も秘めてはいます。なので、このタイプのアイデアには慎重に取り組む必要があります。
 過ぎたるは及ばざるが如し。なにごともやりすぎないことです。


まとめ


 アイデアは、それが論理的に成立しているか、またどのA〜Dのどのタイプの目新しさをもつか、を評価するととたんに理解しやすくなるかと思います。新しさを判定するにあたって、目的と手段の新しさを個別に判定する、というのがぼくのおすすめするメソッドです。

 大量のアイデアをすべてこのように評価するのは大変なので、もちろんフィーリングでふるいにかけて結構です。そして目星をつけたアイデアについては、このように分解して分析評価することで、なぜそのアイデアなのか?という説明が可能な、強固な理論基盤を構築しやすくなるでしょう。

 いままでは、「なんとなく」で評価していたアイデアも、このような目線で見てみるとわかりやすくなるんじゃないかなーと思ってます。どうでしたでしょうか。

次回予告!
 アイデアってさ、目的とか手段とかひとつずつってわけじゃないよな?という疑問が湧いてくる方もいらっしゃったかと思います。次回はそのお話しをするお!アディオス!

2012年11月7日水曜日

第6回 スコアと勝敗と体験と実績と共有と

 こにゃにゃちは〜。たりらりら~ん。かいぽんです。

 今回は、ビデオゲームデザインの過去、現在、そして未来のお話しをしようと思います。いきなりなんだか壮大ですね〜。でも気楽なかるーいお話し?なのでご心配なく!

 ちょっと古い記事ですが、現代のゲーム:「シンプルな勝負」から「達成」へと銘打たれたこちらのアーカイブ記事をご覧ください。2010年の記事かと思いますが、よくまとまっています。

 要約すれば、黎明期のビデオゲームは、クリアできるかどうかやスコアや勝ち負けがゲームの目的だった。そして現代のゲームは、実績の達成が目的となっている。でもさあ、やがて現実までゲーム化されて生活や社会や学校でもこまごまとした実績の達成で駆動されるようになっちゃったらどうなんだろう?心配だね!というようなことが書いてあります。

 おっとっと、ゲームが現実社会に侵食する、いわゆるゲーミフィケーションについては今回のお話しでは取り扱いません。パスします。それはまたいずれ。
 というか心配しすぎですね!だいじょうぶ、ゲームと現実は区別しましょうよ!なんちて。

 さて。話を戻して、まあそういったくくりで、ゲームデザインの発展の歴史をザクっと大雑把にひもといていってみましょう。れっつらゴー!


大昔、スコアと勝敗の時代


 かつてのゲームは、まず、

 ・スコアやタイムを競うもの

 ・クリアできるかどうか試されるもの
 (アドベンチャーゲームとかRPGとか、鬼難易度の『カトちゃんケンちゃん』とかな!)

 ・対戦ゲームなど勝ち負けを争うもの

 だいたいこんなでした。もちろんそれらがミックスされた複合形態も存在し、時代を経るにつれ徐々にゲームデザインは複雑になっていきます。しかし基本的には1プレイを長く続けられたほうが偉い!って価値観でしたね。それが面白さや楽しみだったのです。


ちょっと前、体験の時代


 その後、コンピューターの表現力が向上してくると、今度は「体験する」ゲームデザインが台頭してきました。『MYST』や『ICO』といった世界体験型のゲームがその代表格、といえばわかりやすいでしょうか。むろん黎明期のアドベンチャーゲームやRPG、『アウターワールド』などのアクションゲームでも「体験」スタイルの萌芽がみられますが、本格的に楽しめるようになったのは表現力が格段に豊かになり、「臨場感」を演出できるようになってからでしょうか。

 「体験」はアドベンチャーゲームだけとはかぎらず、FPSなどにもリアリティ追求による臨場感向上により体験型要素が存分に散りばめられています。(とはいっても結局撃ち合うゲームには変わりはありませんけど!)
 どれだけ”映画のような”、あるいは”現実のような”、リアルな体験ができるかが、ゲームの重要な要素としてゲームデザインにも取り入れられてきました。

 そして臨場感の演出向上がある閾値を越えたあたりで(つまり、まあ素人目にそれ以上画面が綺麗になってもあんまりよーわからん!ってなったあたりで)、こんどは「実績(アチーブメント)」が登場します。


現代、実績の時代


 実績、アチーブメント、トロフィー、表現は様々ですが、ここでは実績と統一しておきましょう。じつはこのすこし前の時代から、ゲームには「やりこみ要素」という(中古対策の)フィーチャー群があり、そしてそのやりこみ度を評価する機能が存在していました。「達成度◯◯%」みたいな指標ですね。

 これらを大きく拡張し、ゲームの中でのちいさなミッション、ストーリー進行度、様々なプレイの蓄積、隠し要素の踏破、もちろんやりこみ要素も、などなどを網羅的に記録し評価する、という「実績」システムがプラットフォーム機能として推奨されるようになりました。

 いままではユーザー個人のこだわりプレイでしかなかった「ナイフだけでクリア」などの変態プレイでも「実績」として評価される、ほんとに大きなお世話な素晴らしい機能です!これでナイフでも戦えるよ! 母さん、ぼくのあの、スナイパーウルフをリモコンミサイルで倒したあの実績も解除されるようになったかな??

 プレイヤーのゲームプレイを細かく評価し、褒めて、ごほうびをあげる、という実績システム。可処分時間の少ない現代人の心を折れさせないでゲームに釘付けにするためにはもはや必須で、そのためのゲームデザインも意識的に行わなければならないようになりました。

 スコアも、勝敗も、体験すらも、すべて実績達成として記録するのが、今風のゲームデザインなのです。


未来、そして共有へ


 そしてこれから。実績達成の次はどこへ向かうのでしょうか。

 もちろん、これからは「共有」の時代でしょうソーシャルソーシャル!(葛城ミサト風)といえば一言で終わってしまう感じもするのですが、もうちょっと未来予測らしく書いてみます。

 いま、オンラインゲームやソーシャルゲームでは部分的にはゲーム内アイテムなどのある種の共有化が行われているかと思います。ほかにも『モンスターハンター』などでは、ある種「体験の共有化」といっていい現象が見られます。

 今後将来的には、すべてのゲームがオンライン化していき、他のユーザーとつながることが当たり前となっていくでしょう。というかもうなってますよね。
 そしてそのときは、かつてのスコアや勝敗や体験が実績に取り込まれたように、スコアや勝敗や体験や、そして実績までもがより強固に共有化される、より積極的にゲームデザインとして取り込まれていく、そんな時代になっていくんじゃないかなと個人的には予想しています。

 いまでもすでに「実績」や「トロフィー」はシステム画面経由でユーザー間では共有されていると言えば言えますが、これがもっと進んだ形、たとえば複数プレイヤーがみんなで共同で実績を達成していくゲームだとか、共同スコアだとか、そういったゲームデザインがより発展していくのではないでしょうか。(すでに似たようなものがありそうですよね!勉強不足でスミマセン)

 そして理論上でいえば、こんどはその逆に、そういった共有具合をスコアとして取り入れて競ったり、共有具合で勝ち負けを決めたり、共有をひろげていくこと自体をみんなで体験する、などなど、過去のゲームデザイン要素に還元したり、なんだか循環していくようなゲームデザインが行なわれるようになる可能性があります。わお、ループしている!時代はめぐる!ウロボロスだよ、おっかさん!

 なんだかよくわからない話になってきましたね。ついてこれてますか?

 ひとことでまとめれば、これからは

  「ゲーム体験の共有」

の時代に進んでいくのではないかというのが、わたくしの青年の主張であります。


まとめ


 ゲームデザインの壮大かつ超大雑把な進化の歴史をみてきました。スコア、勝敗、それから体験へ。そしてそれらをとりこんだ実績の時代へ。そして今後は「共有」が、またそれらすべてを取り込み融合し、ゲームデザインは深く広く複雑になっていく・・・ 
 そして「ゲーム体験の共有」とは、メタゲームデザインと呼ばれる領域にまで及ぶことが考えられます。なんだか頭がくらくらしてきますね。自分的にはPSVitaの『near』がその初歩的な形のひとつだと思ってデザインしたのですが、どうでしょうか。

 「ゲームはみんなでやればもっと面白い!」を具現化していく、そんな未来に向かって、これからもゲームデザインの進化は続いていく!ゲームの進化は止まらない!のではないでしょうか。なんだか希望にあふれてますね!ちょっと妄想気味ですが、自分ではわりと真面目にそう信じてます。

 今回のお話しはいかがでしたか。ご清聴ありがとうございました!ぺこり。

2012年11月3日土曜日

第5回 黒ひげ危機一発、ヒットの理由?!

 やっほー。かいぽんです。

 しばらくゲームとはあんまり絡まないゼネラルな話が続きました。ちょっと反省して、今回はちゃんとゲームデザイン関係のお話しです。といっても教材は玩具ですが。ではいってみましょー!

 みなさんご存知の『黒ひげ危機一発』という玩具がありますね。このゲームルールの変遷が今回のテーマです。Wikipediaによれば、このゲームは1975年に発売され、いまも販売している息のなが〜いロングセラー商品とのことです。すごいですね。

 でもそんな黒ひげさんも、発売当初はいまいち人気がなかったそうです。
 黒ひげさんは発売当初、剣を刺して「黒ひげを飛び出させた人が勝ち!」というルールでした。しかしその後、「黒ひげを飛び出させた人が負け!」というルールになってから人気に火がつきヒット商品になったとか。

 つまり、ルールを入れ替えることで遊びが面白くなって、それがヒットにつながったんですね!(ほかにもテレビ番組で使われるなどで認知度があがった、などの背景もあるようですが)

 さて、ここで疑問がわきます。この商品の命運を変えたルール変更、「飛び出させたら勝ち!」を、「飛び出させたら負け!」に入れ替えたことによって、なぜゲームが面白く感じるようになったのでしょう??? ほんのちょっとの変更にみえますが、ここにいかなるメカニズムが働いたのでしょうか???

 ちょっと改行しておきますので、そのあいだに少し考えてみてください。
答えはこのあとすぐ!もうまもなく!













黒ひげさんに何が起こったのか?


 まず、発売当初のルール「飛び出させたら勝ち!」のゲームプレイを考えてみます。

 ルール1「飛び出させたら勝ち」 ゲームスタート!

刺す→はずれ!
 刺す→失敗!ハズレだ!
  グサッ→また失敗!
   グサッ→ミス!失敗だ!なにをしているッ!
     刺す→またもやハズレ!もう君には頼まん!
      刺す→バ〜ッド!また外したぞ!ニック、国へ帰れ!
       グサッ→成功!すぽ〜ん! 君の勝利だ!!!

 平均的にいって、上記のような失敗→失敗→失敗→成功、というゲームプレイになるかと思います。では次に、変更後のルール「飛び出させたら負け!」のゲームプレイをみてみましょう。


 ルール2「飛び出させたら負け」 ゲームスタート!

刺す→成功!大丈夫だ。
 刺す→グッド。セーフだぞ。
  グサッ→またまた成功!いいぞ。
   グサッ→OK!セーフだ。
     刺す→成功!ナイス刺し込み!その調子だ!
      刺す→成功!フ〜ゥ、やるじゃない!
       グサッ→失敗!ぽぽぽぽ~ん! 黒ひげは星になった!You lose!

 平均的には、上記のような成功→成功→成功→失敗、という流れのゲームプレイになりますね。

 プレイヤーには成功体験を積ますべし、という昨今のゲーム原理からいえば、失敗続きのルール1よりも、成功ケースが多いルール2のほうが優れてるのは明白ですが、これはじっさい正確にはどういうことなのか、もう少し詳しく見てみましょう。


難易度曲線で比較する


 「黒ひげ危機一発」は、ゲームスタートから差しこみ穴に剣を差し込んでいくことで、差しこめる穴の数がどんどん減っていき、それに従いだんだんと当たり確率が上がっていきます。つまり、最初は当たりにくく、ゲームが進むにつれ当たりやすくなる、という単純な数学的原理が働いています。

 これを難易度の変化として、ルール1の「飛び出させたら勝ち」という場合の難易度曲線でプロットしてみましょう。



 このようにゲーム序盤は当たりが出にくく難易度が高い、ゲームの進展に従い当たりが出やすくなって難易度が低下していく様子が分かります。


 つぎに、ルール2「飛び出させたら負け」の場合の難易度曲線はこうなります。


 ゲーム序盤はセーフの確率が高いため難易度が低く、ゲームが進むにつれ負けを引く確率が上がり難しくなっていきます。


 これをふまえて、件のルール変更でどうなったのか、並べて見てみましょう。


 なんということでしょう!
 ルール1「飛び出させたら勝ち」からルール2「飛び出させたら負け」にルールを反転させたことで、難易度曲線もみごとに反転してしまいました!まさに劇的!

 「黒ひげ危機一発」のルール変更の意味は、とどのつまり、

難易度カーブが適正になるよう修正した

ことにほかならない様子が見てとれます。


まとめ


 「黒ひげ危機一発」のゲームルール変更は、じつは難易度調整だったのです。

 ゲームを制作するうえで、難易度曲線を調整することは多々あると思いますが、ルールを変更することで難易度を調整するというすさまじいアクロバットになるなんてすごいですね!こういうこともあるんですね〜。

 ゲームのルールを変更したり難易度を調整したりする場合は、相互にゲームプレイに影響を及ぼす可能性を十分に承知しておくことが大事だな〜。と、かいぽんはそう思いました。

 まあそのほかにも、難易度上昇にしたがいスリルも上昇するとか、ひとりだけの勝者が出るぐらいだったらみんな横並びで負けをひとりだけ作るほうがいいという、どすぐろい足の引っ張り合い日本的ムラ社会の構造的精神性うんぬんが日本市場にマッチした・・・、というような推論もなりたちますよね。いろいろ考えさせられますね(^▽^)


 さて今回のお話しはいかがでしたでしょうか。ちょっとした玩具のゲームでも、その面白さの源泉を探ってみることでビデオゲームづくりの参考になったりすることがあるかと思います。たのしいですね!

 それではまた。ばいちゃ〜。



2012年11月1日木曜日

第4回 ブレインストーミングの誤謬


 「おーい、磯野ー!ブレストしよーぜ!」


 ブレスト。ブレインストーミングの略称です。みなさんは「ブレスト」と聞いて、どんな会議を想像するでしょうか。

 こんにちは。かいぽんです。今日はこの不思議なミーティング、「ブレインストーミング」について、すこし思ってることを書きます。それってもしかしてブレスト?(芦原英幸風)だとか、ブレインストーミングの本質とはなんなのら、とかの、そんな話です。レッツ夜露死苦ゥ!


それってほんとにブレスト?


 日本の会社で、「ブレスト(ブレインストーミング)」といえば、次の2つの形態がほとんどを占めると思われます。

  1. ざっくばらんに話し合う会
  2. ブレインストーミング経典に則ったアイデア会議

 いえ、どちらも別に悪いわけではないですよ。大いにやるべきです。
 上の1番は「ブレストなんだから都合の悪いことや関係ないことでもじゃんじゃんざっくばらんに発言しようや」という、ある種免罪符としてブレストという言葉をうまく使ったもので、じつは本来の意味のブレインストーミングじゃないですよね。まあでもざっくばらんに話し合うことはイイ事ですが。

 そして2番は、たいていの場合、ブレインストーミングのルールを仕切る”ブレスト奉行”がいて、出た意見は否定するべからず、とか、全員が順番に発言すべし、とか、ポストイットにアイデアを書くべし、とかいろいろとお世話を焼く感じじゃないでしょうか。どうにも緊張しますよね。

 こんな会議でほんとにいいアイデア出るの?と、みなさん疑問に思ったことが一度や二度じゃないのではないかと思います。


ブレストの本質とは


 書店で売られてるようなブレインストーミングの教本には、さまざなまブレインストーミング手法やルールがこれでもか!って具合に書いてあると思います。でもルール手順がいっぱいで、みなさんも「いってることは分かるけど、いまいちめんどうだなあ」と思っているのではないでしょうか。

 ぼくが思うに、ブレスト教本とかだとルールの教示に一生懸命なあまり、初歩的な基本があんまり書いてない気がするんですよね。

 それらのせいで、ブレインストーミングに対して多くの人が正しいイメージを持ててないんじゃないかと心配しています。


 ブレインストーミングとは、とどのつまりなにかといえば

ネタの評価はあとまわしにして、まずネタの数を出す

 っつーことが目的なんです。

 すなわち、

  ブレストの場ではネタをどんどん出す
          
  ブレストが終わってから(終わってからですよ!)
  一旦持ち帰ってネタの善し悪しを選別する

ってのがブレインストーミングの手順の基本になるんです。

 要は、ネタ出し作業と選り分け作業を完全に分離することで、ネタ出しそのものに集中して短時間で大量のネタを集められる。それがブレインストーミングなんですね。つまり完全分業による効率化。

 この基本のキを理解すれば、ブレスト教本にあるルールなんかも、その意味がより理解できるんではないかと思います。
 逆にこの理解がなく、ルールありきの会議では、ブレストもなかなか効果が出ないのではないでしょうか。


まとめ


 ブレインストーミングとは、とにかく大量にネタが必要だっ!だとか、たくさんネタを出せばなにか役に立つものがひとつぐらいでるだろうッ!ってときに人を集めて行なうことで威力を発揮します。
 そんで、ネタを集めるだけ集めたら、その選別は別途で然るべき人が(できれば冷静な人が)行なうべし!であります。(いったん熱を冷まさないとね!)

 こうしてみると、いわゆるなにか問題を解決するための会議(解決策まで策定する会議)、ってのは、それは本来のブレスト形式だと成立しえませんよね。ブレストとはネタ出し(オンリー)なわけですからね。
 そういった目的の会議では、”ブレスト奉行”の活躍は遠慮してもらうのが吉だと思います。いわゆるブレストのルールで行なっちゃダメです。発散するだけ。

 もっとも教本によっては、ネタ出しと、その後のネタの選別とをいっぺんにやっちゃうようなルール付けをしているものもあるようですが。それはなかなか頭の切替が難しい、達人向けのやりかたですね。あまりオススメはできないっキリッ


 さて今回のお話しはいかがでしたでしょうか。ブレストってみんな大好きだけど、あなたも(わたしも)うっかりうるさいブレスト奉行になってしまわないよう、お互いみんなで注意しましょうね!

 ちゃおー!

2012年10月31日水曜日

第9回 アイデアの正体とは(1)


 「なんかいいアイデアないー?」

 アイデアとはそもそも何でしょうか。また、アイデアの良し悪しとはどう評価すればいいのでしょうか。
 世にあまたある発想法の書籍などをみても、アイデアのひねり出し方は書いてあっても、アイデアであるための構成要件とはなにか、優れたアイデアと悪いアイデアはどう判定すればよいのか、明確に指摘してある本はほとんど見当たらないように思います。


アイデアの正体


 アイデアとは、「目的と手段の組み合わせ」です。


 特定の目的を設定し、その目的を達成・解決するための手段を提示する。それがアイデアといえます。そしてその目的および手段の妥当性や新規性実現性、組み合わせの妙などの評価がアイデアの良し悪しとなります。

 アイデアとは、目的と手段がセットになっていなければなりません。どちらか一方しかないものは、単なる「思いつき」であって、アイデアとは呼べません。以下ではその例を説明します。


ただしいコロンブスの卵、おかしなコロンブスの卵


 アイデア発想の妙例として、「コロンブスの卵」の逸話は有名ですね。このコロンブスの卵には、しっかり「目的と手段」が含まれています。
 卵をテーブルに立てるにはどうすればよいか?(目的)→卵を叩きつける(手段)。この素晴らしいコンボは、簡単な回答だけど最初に思いついたやつが偉い!天才だっ!ってなるわけですね。

正しいコロンブスの卵
正しい「コロンブスの卵」


 さて、ここでもし、「目的」がなかっとしたらどうなるでしょう。コロンブスはいきなり突然テーブルに卵を叩きつけます。周囲の人は(違った意味で)目を瞠るでしょう。「このオッサン、ついに狂ったか・・・」

まちがったコロンブスの卵
まちがった「コロンブスの卵」


 コロンブスがやったことは、おなじ「卵を突き立てろ〜〜〜!(平松伸二風)」であるにもかかわらず、なぜ結果はこのように大きく異るのでしょうか。
 それは目的と手段がセットになっていないからです。

 同様に、目的があっても手段がない場合、すなわちコロンブスが問題を出しておきながら自分でも卵を立てられない場合、「答えはありません!解なしもまた解なり!ダハハ・・」などと言って周囲を失望させることになります。つーか自分でできないならなんでそんな問題出したんやアホかっちゅうねん。ってなります。


まとめ


 アイデアを評価する場合には、ますそれがそもそも”アイデアであるかどうか”を判定する必要があります。そのアイデアの目的は?そして手段は? それがしっかりと揃っていて組み合っていてはじめてそのネタをアイデアと呼ぶことができます。もしそうでない場合は、「そりゃただの”思いつき”でしかないわ」といって却下されることになります。
 アイデアを考える場合、評価する場合には、目的は?そしては手段は?ということを強く意識するよう、ぼくは心がけています。

 この「アイデア=目的+手段」って話はさらに続きがあるのですが、それはまたエントリを改めておいおい書いていきたいと思います。よろしくねっ!

 なお余談ではありますが、コロンブスの卵の逸話はじつに奥が深いので、このブログでもいずれ再登場することになるでしょう。でもそれはまたべつのお話じゃ。おたのしみに!

2012年10月27日土曜日

このブログの方向性とか

 ちょっとひとりごと。

 このブログ向けに、いろいろネタストックをまとめてたんだけど、ちょっと思ったことがあります。

 ゲームデザイン上の具体的なテクニックや手法はいっぱいあるけど、それを系統立てて方法論みたいにして並べて解説するってのは、海外や日本の学術研究機関とかでたぶんいっぱいやってると思うんですよね。つーか、ぼくそういうのたぶんできないし。あたまわるいから。

 たとえば「ライフ制」にはどんな種類があって〜代表的にはどのゲームでこう使われてて〜、それぞれの手法における効果と欠点はどうこうで〜〜、みたいなの。

 まあそういうゲームデザインのパーツカタログって、集めるのすっごく大変だし、そういうことする研究者というか専門家じゃないと、きっと無理な仕事だよね。もうそれ論文だよ!ブログとかのレベルじゃないし^^ それにそういうコンテンツは、このブログにはあんまり期待されてないと思うし。

 ゲームデザインのパターンをパーツカタログ化する、って仕事はすごく価値があるとおもうし、業界としてはぜひやるべきことだし(誰かがね)、できあがったものは非常に面白いものになるとは思う。とても興味深いものになる。断言できる。でもなー、実際のゲームデザインってのは、じゃあそういうパーツをガチャガチャと組み合わせればいっちょうあがりっ!ってわけには(たぶん)いかなそうに思うんだよね。どうなんだろうね。


 ともかく。このブログでは、そういった体系的で学術寄りなゲームデザインテクニックのカタログ化を目指すのではなく、もっとゲームデザインの根底にかかわる思想とか思考法、あるいはより実戦的なTIPS――たとえば戦場でナイフでヒゲを剃るやりかたみたいな、あたまわるいけど実践では役に立つ!みたいな。ま、ぼくなりにつかんだオリジナルなテクニックなどを書いていければいいかなあ、と。まあ現時点ではそう考えています。

 ・・・・・・・。
でも、そういうゲームデザインパーツの解説付き見本カタログとかあるとやっぱ便利そうじゃんね! PANTONEの色見本みたいな!
 どっかに落ちてないかなあ!(だれか探すか作って!の意)

第3回 ゲーム企画屋さんに必要なスキルとは(2)

 こんにちは。かいぽんです。

 前回、ゲーム企画屋さんに必要とされる能力は以下のように分類できる。というお話しをしたのでした。


Game
Common

ゲーム制作に
特有のスキル
一般社会でも
有用なスキル
ビジョンを描くちから
(発想構想)


ビジョンを共有するちから
(説明伝達)


ビジョンを実現するちから
(計画実行管理)


不具合を取り繕うちから
(検査改善)



 前回の補足ですが、この表では、ゲーム制作に特有のスキルと、一般にも有用なスキルがきっぱりと分かれていますが、実際には当然どちらともつかないグレーゾーンもありますね。念のため。

 さて今回はその続き。「VSDTサイクル」の各項目の解説です。なおこの分類は、能力分類でもあり、実際にゲームプランナーが担当しなければならない仕事の種類ともいえます。そのつもりでごらんください。
  1. Vision − ビジョンを描くちから(発想・構想)
  2. Share − ビジョンを共有するちから(説明伝達)
  3. Do (Action) − ビジョンを実現するちから(計画実行管理)
  4. Troubleshooting − 不具合を取り繕うちから(検査改善)※トラブルシュート、現場合わせ

 ではさっそくまいりましょう。


1.Vision − ビジョンを描くちから(発想・構想)


 考える能力。

 アイデアを発想したりまとめたりすること。細かい例では仕様を考えたりシナリオやアイテムのネタを考えたり、広くは商品戦略を構想したりなどの、まあいわゆる頭をつかって考える能力ですね。

 一般には、ゲームプランナーや企画屋さんに必要な能力といえばこの能力だけを指す、かのように思われていますが、これは企画屋の能力の、ほんの手始めにすぎません。

 とはいえ、よい仕事はよいアイデアから始まります。まずはビジョンを描くちからがなくてははじまりません。


2.Share − ビジョンを共有するちから(説明伝達)


 伝える能力です。

 具体的には、企画書づくりや仕様書づくりなどの文書化能力やプレゼン能力、ビジネス用語でいう「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」に代表される基本的なコミュニケーション能力、高度なものでは多人数間で意志決定を合意するコンセンサス能力なども含まれます。プロモーションなども広義ではこの説明伝達能力といえるでしょう。


 この”伝える”能力の重要性を、ぼくはとくにだいじな能力として強調しておきたいです。


 あなたがどれだけ素晴らしいビジョンを着想しても、そのビジョンをチームメンバーと共有出来なければ、絵に描いた餅です。(いえ、「絵に描く以前の餅」です!!)

 どれだけよい発想があったとしても、それを人に伝えられなければ、それは”宇宙の真理を悟ったサル状態”――伝えられなければなんの意味も無いもの、なのです。


 ひとりのプランナーが「よし!一番の山を攻めるぞ。じゃあ準備してふもとで集まろう!」とチームのみんなにハッパをかけます。彼はエベレストのふもとで待ちますが、プロデューサーは富士山にむかい、デザイナーはキリマンジャロで待ち、プログラマーはなぜかラーメン二郎に並んで・・・その山盛りちゃう!!・・・みんなバラバラなことをしていた!!! なんてことはゲーム制作においてはじつにありがちな光景です。

 チームへの伝達がうまくいかず、もとの意図を共有できていなかった。という事故が往々にして起こりえます。そしてゲーム制作においては、そのような事故は制作工程に大きな無駄と手戻りを発生させ、修正のためのやりなおし作業がスケジュールや予算を大幅に圧迫することになります。ほんの小さなボタンの掛け違いが、プロジェクトに甚大な被害を生じさせる原因になりかねません。

 それだけにこの”伝える”能力、ビジョンを共有するちからは、特にゲームビジネスにおいてはたいへんに重要といえます。超強調して言っとく。


3.Do (Action) − ビジョンを実現するちから(計画実行管理)


 実行する(実行させる)能力。・・・ん、ちょっとわかりにくいかな。

 まあ簡単にいえば、データ実装とスケジュール管理、ちゅうことです。

 ビジョンを指示まで落とし込み、実装計画をまとめ、スケジュールを引き、マイルストーンを設定し、タスクリストを書いて、日々その進行をチェックする。必要であれば予算とかも算出する。
 ほかにはいわゆる外注管理などの諸業務も、この項目に含まれます。

 計画と予実管理だけでなく、実装作業自体も必要です。プランナーが実装担当すべき各種のデータやスクリプトがあれば、それもひたすら作成しなければなりません。そんな実装作業もこの項目に含みます。実装なくして実現なし!ニンジンとムチををじょうずに使ってキリキリと働きましょう(&働いてもらいましょう)。


 説明が少々あっさりですみませんw でもここはプランナーさんの腕の見せ所だよイヨッ!
 新人のプランナーさんは、まずだいたいはここを担当することからスタートすることが多いですね。

 ビジョンは実現しなければなんの意味もありません。ビジョンを実現するちからは、その土台となる能力です。


4.Troubleshooting − 不具合を取り繕うちから(検査改善)


 テストプレイと不具合対処能力です。

 ご存じのように、ゲーム制作というものは、実装が終わればハイ完成!というわけにはまいりません。他セクションに依頼した実装作業や作成されたデータが仕様通りできてるか、想定どおり動作するか、不具合が出ていないか、検査チェックすることが必要です。

 また実装にあたって、想定外の問題や不具合が発生する場合もしばしばあります。
 たとえば建築の世界では、図面設計どおりに切り出され運び込まれた資材の寸法が現場でちょっと合わない、建築現場で加工を微調整しその場で寸法を合わせて解決する、いわゆる「現場合わせ」ということがよく行なわれます。

 ゲームの現場でもそういったケースは多々あります。その場合にはすみやかに原因を特定し、問題の大小を見極め、それがちょっとした見落としなど小さな問題であれば、その場ですり合わせや調停をしたり、対策改善策を検討し修正指示することになります。(なお、手に余る大問題であれば、いったん持ち帰って然るべき対処をチームで検討しなければなりません。そういった見極めも能力のうち!)

 ゲーム制作とは、思ったようにはなかなか進みません。フラフラと進むボロ車のようにハンドルをつねに微調整しないと、うまくいきません。
 テストプレイ(バグチェック)は実装者や仕様作成者が確実に行い、問題が軽微なうちに対処しなければなりません。その業務と能力はプランナーにとって(いやゲーム制作にとって)必須であるといえます。

 「ちゃんと実装チェックして然るべき対処をする」というスキルをまとめたものが、不具合を取り繕うちから、といえますです。


まとめ


 多岐にわたるゲームプランナーの仕事も、作業サイクルにすればとどのつまりこの4つに集約できるといえます。

「まず考える → それを伝える → 作る → 作ったら試す → また考える →(以下ループ)」

VSDTサイクルまとめ図

 この4分類は、日々の業務を意識して整理したいときや、プランナーの人事考課を検討するときなどにも効果的な枠組みとなるかと思います。

 なんだかこのように4つに集約すると、シンプルすぎてかえって簡単にみえちゃいますね。でも実際には、どの項目にもそれぞれじつに広範で奥の深~いスキル領域が広がっています。ゲームプランナーはこれらの能力を網羅しマスターしていかなければなりません。たいへんですね!


 企画道に近道なし!企画道にゴールなし!日々精進の毎日です。


 さて今回のお話しはここでおしまいです。いかがでしたでしょうか。
なんか最後の図だけあればいいじゃん、説明なげーよww という突っ込みはナシですからね!

2012年10月26日金曜日

第2回 ゲーム企画屋さんに必要なスキルとは(1)

 こんばんは。ゆかいなゲーム屋さんでおなじみの、かいぽんです。

 ゲームの企画屋さんに必要なスキルってなんでしょう。今日はそういう話をします。


 発想力? コミュニケーション能力? 問題解決能力? 高い志し? 英語や数学? 文章力? 審美眼? 計画遂行管理能力???

 ほかにも飲み会能力とかパシリ能力とか最強の雑務能力とか、いろいろありますよね!


 ゲームプランナーには(むろんプランナーによらずすべてのゲーム開発者には)、かのようにさまざまな能力が求められますが、まとめるととどのつまり、以下の4分類に大別できると考えています。


  1. Vision − ビジョンを描くちから(発想・構想)
  2. Share − ビジョンを共有するちから(説明伝達)
  3. Do (Action) − ビジョンを実現するちから(計画実行管理)
  4. Troubleshooting − 不具合を取り繕うちから(検査改善)※トラブルシュート、現場合わせ

 ぱっと見ると、これ、PDSサイクルPDCAサイクルといった品質管理におけるマネジメントサイクルにちょっと似てますね!これはそれらと同じようなサイクルといってもいいでしょう。

 上記4つの分類を、その頭文字をとって

「VSDTサイクル」

と、いま命名しましたなう。”vs童貞サイクル”と唱えるととても覚えやすいですね!これはサイクルでもあり分類でもあります。そこんとこ夜露死苦!

 各項目の詳細はまた追って解説しますが、この”vs童貞”が、PDSサイクルなどマネジメントサイクルと最も異なるのは、”2.Share − ビジョンを共有する”というプロセスを独立項目として非常に重要視している点にあります。そこが違いです。この件も後ほど解説しますね。

さて、このvs童貞サイクルで大きく分類した能力はさらに、

  1. 一般社会で必要なスキル
  2. ゲーム制作に特有のスキル

の、2つに分割できます。
以上までをマトリクス表にプロットすると、ゲームの企画屋さんに必要な能力(スキル)は、以下のような分類になるといえるでしょう。



一般社会で最低限
必要なスキル
ゲーム制作に
特有のスキル
ビジョンを描くちから
(発想構想)
●●●+α
ビジョンを共有するちから
(説明伝達)
●●●+α
ビジョンを実現するちから
(計画実行管理)
●●●+α
不具合を取り繕うちから
(検査改善)
●●●+α

 まあ!わかりやすい!

 ゲーム企画屋さんに必要なスキルは、上記のぜんぶです。ぜんぶ。
 すなわち、vs童貞能力のうち、一般社会でも有用なスキルに加え、ゲーム制作特有のスキルを上乗せしたものが、ゲーム企画屋さんには必要ってことになります。(なお、ゲームとは異なる業界の企画屋さんの場合、ゲーム特有のスキルのかわりにその業界特有のスキルがあることでしょう)

 ゲーム制作に特有のスキル、ってのは、他の業界では役に立ちそうにないものを指します。例えば、分岐するシナリオのフラグを計画的に管理する能力、だとか、新しい弾幕の形のアイデアを構想する能力、なんてのは、ピンポイントすぎて一般社会でもジョジョのスタンド能力としても、たいして役に立たないでしょう。安心院さんだってそんなスキルはいりません。でもゲーム業界ではとても有用で必要なものです。

 一般社会にも有用なスキル、ってのは例えば、パワーポイントをつかってプレゼンを行う能力、だとか、スケジュール表を引っ張り管理する能力、などなどゲーム制作現場でも一般社会でも必要かつ歓迎される能力でしょう。ジョジョならかなり無敵に近いスタンドではないでしょうか。たったいまッ!きさまをスケジューリングしたッ!きさまはもうマスタープラン通りにしか動けないッ!みたいな。安心院さんも安心のスキルですね。

 あ、なんだか長くなってきました。VSDTの各項目の説明は(本来これが主眼だったのに!)、またエントリを改めて解説することにしましょう。

 次回に続きます。すみませんぺこり。

2012年10月25日木曜日

第1回 クソゲー力とのたたかい


 ゲーム制作とは、ひとことで言ってみれば、『クソゲー力』とのたたかいです。


「この世界はクソゲー力(ちから)に満ちあふれており、
普通にゲームを作れば例外なくクソゲーになる」


 これをクソゲー力原理といいます。(勝手にぼくが名付けました)
なにかの冗談とかじゃないですよ。ホントだから!


 「クソゲー力」は、空間に満ち満ちており、それ自身は目に見えないものですが、その圧力はさまざまな形に変換され、ゲーム制作現場に降り注ぎ、ゲームが面白く完成することを強固に妨害しています。


 予算不足、スケジュール不足、無理解なプロデューサー、読めないマイルストーン審査、混入する大量のバグ、逃げるプログラマー、実現不可能な仕様書、度重なる方針変更、狂ってるとしか思えない指示、指示どおりに従わないスタッフ、仕様が噛み合わない、作ってみたらまるで面白くない、思ってたのと違う、想定外のユーザー行動、大御所のちゃぶ台がえし、なぜか行方不明になるデータ、そもそもツールがバグってた、無茶な工程表、ズダボロの進行管理、ハードディスクのクラッシュ、しかも最新のバックアップがなかった、etc.etc...

 なんという恐ろしさでしょうか・・・


 ゲーム制作に携わるすべてのスタッフ・関係者は、基本的にひとりの例外もなく、ゲームを面白くせんとして行動しているにもかかわらず、なぜこのような理不尽なトラブルが起こるのでしょうか? 誰一人悪者はいないのに。

 それは「クソゲー力」によるものです。スタッフには罪はない!

 あなたの作るゲームは、このクソゲー力によって数多くの危機に見舞われ、クソゲー化していく危険に、常に晒されているのです。


 しかし、多くのゲーム制作現場では、スタッフのたゆまぬ努力と献身的な貢献、細心の注意とゆるぎない問題解決能力、粘り強い抵抗と愛と勇気を結集することで、振りかかるクソゲー力の浸透圧を、かわし、押し返し、あるいは打破することに成功し、最終的にそのゲームを面白く完成させているのです。なんという勇者たちよ!


 ゲーム制作にあたっては、まず面白いゲームを構想することがもちろん第一ですが、その実現には、このクソゲー力と戦い、勝利することが必要です。


 ゲーム制作とは、じつはその大半は、
架空の概念「クソゲー力」との戦いといえるのです。


 さて。「クソゲー力」は、ぼくが15年ほど前に提唱した概念ですが、現在はその研究も進み、その未知なる力場の正体もなんとなくわかってきました(たぶん)。その正体については、またエントリを改めていずれ詳細を報告したいとおもいます。いつかね!

 そしてこのブログは、そんなクソゲー力と戦うための、考え方やTIPSなど、さまざまな武器を提供するためにがんばっていきたいと思っていマス。そうできればいいなあ(弱気)


 なお、ぼくは『クソゲー力(りょく)』と読む派です!