2012年12月12日水曜日

第12回 目的が先か、手段が先か、それが問題だ・・・~アイデアの正体とは(4)

 こんばんわんこ!かいぽんです。
だいぶ更新の間があきました。みなさまお元気ですかー。今回は、アイデアの正体シリーズ第4回になりますよ~。
これまでのINDEX
その1 アイデアの正体とは(1)
その2 良いアイデア、悪いアイデアの見分け方~アイデアの正体とは(2)
その3 アイデアはタコ足なのよね~アイデアの正体とは(3)
今回→ 第4回 目的が先か、手段が先か、それが問題だ・・・~アイデアの正体とは(4)


 さてさて。「アイデアとは、目的と手段の組み合わせである」と、これまで言ってきました。

アイデア基本形の図


 みなさーん。よいアイデアを考案するにあたっては、


目的のためには手段を選ばず!


という乾坤一擲の気概が必要です。これはわかりやすいですね。
しかしその一方で、


手段のためには目的を選ばず!


という考え方も成り立ちます。

 ・・・んんん? じゃあ、アイデアを整えるときって、目的と手段とどっちを先に決めたほうがいいの???という疑問が当然のように湧いてくると思います。

 鶏が先か卵が先か・・・ 気に入った女性だから好きになるのか、好きになったから気に入るのか・・・、卵と恋愛は難しい・・・ なんだか考えていると青春の苦悩に突入してしまいますね、これは困った。


 しかし安心してください。その結論は簡単です。


目的と手段、どちらが先でも構わないッ!


 これですよこれ。
 要は「目的と手段の組み合わせ」がどれだけ合理的にフィットしているかだけが重要なのです。その点だけでいえば、どちらが先に来ても構いません。そのほうが柔軟な発想ができますし!


■手段に目的を合わせるのもアリだ!


 目的のためには手段を問わず!という考えかたはごくまっとうですよね。反面、手段のためには目的を問わず!というと、なんだか本末転倒ってイメージがあると思います。でもね、世の中にはそれで成功したケースってのがけっこうあるのです。

 
 かつてぼくがデザインした『キャメルトライ』というゲームでの実例をご紹介しますね。

 どんなゲームか知らない方は →こちらの動画で把握!



 『キャメルトライ』は画面を回転させてボールをゴールに導くゲームです。このゲームを発想する際に最初に頭に浮かんだのは、”回転スクリーンを使って迷路を回転させる迷路ゲーム”ということでした。つまり、”画面を回せ!ボールを転がせ!”という手段のみがあった状態でした。

 ちなみに回転スクリーンっていうのは、2Dの背景スクリーンを回転させることができる当時最新鋭のハードウェア技術のことです。

 さて、画面を回すのはいいですが、このままではこれはアイデアとして成立していません。単なる”思いつき”のネタレベルでしかありません。

 (あるいは、”回転スクリーンを使ってなんかおもろいことをする”という、見えないインビジブルな目的が設定されている状態です。たしかに回転スクリーンで回せるのはおもろいですけど、この目的は典型的な”作り手の都合”、”技術のみせびらかし”であって、商品としての目的としては弱い状態です)


 そこでぼくは、”画面を回す”という手段はそのまま生かした状態で、”レースゲーム”という目的を設定しました。(正直にいうと天才マーク・サーニーの名作『マーブルマッドネス』からインスパイアを得たわけですが)

 かくして、『キャメルトライ』はタイムレースという目的を得て、制限時間内にスタート地点からゴール地点まで走破するゲームへと昇華されました。後付けの目的と、最初からあった手段の、素敵なマリアージュとなったわけです。えっへん!(自画自賛)

 ちなみにタイムレースっていうゲームデザインは、ビデオゲーム黎明期から存在する非常に古い手法です。
 画面を回転するという(当時としては)新しい手段と、タイムレースという古いありがちな目的を組み合わせた点でも、『キャメルトライ』はヒットするアイデアの条件を兼ね備えたものでした。今思えば。(参照→第2回 良いアイデア、悪いアイデアの見分け方~アイデアの正体とは(2)



■まとめ


 目的が先か、手段が先か、どちらが先かをこだわることに意味はありません。目的は手段のために!手段は目的のために!こだらわずにベストマッチする組み合わせを考えましょう。

 そのときにキーとなるのは、ズバリ直感です。ええ~?!ここにきて直感・・・だと・・・?!

 いえいえ、目的が主で手段が従なのか、それとも目的が従で手段が主なのか、その判断は直感で行なうのです!

 先の『キャメルトライ』の例では”手段が主”です。”画面を回す”という手段が主だ、これだけは絶対に変えられない!と、ぼくがそう判断した合理的な理由はなにもなく、直感以外のなにものでもありません。直感を強く信じよう!


 そのうえで、従たる目的は、あるいは従たる手段は、主のほうを生かすためにどんどん取り替えろ!っていうのがぼくのおすすめするアイデア発想メソッドです。

 そういう意味で、目的と手段、どっちが先にあっても(どっちが主でも)、アイデアの世界ではどちらでも構わないのであります!(恋愛でもね!)


 今回のお話しはおもしろかったでしょうか~。なにかみなさんの参考になれば幸いです。
さて次回はいよいよアイデアの正体シリーズの最終回!ここまで長かったね!
デザインとは、アイデアが織りなすタペストリーだ!ってお話しをしますよん。

 それではアスタルエゴ~!


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