2013年6月19日水曜日

第14回 ゲームプランナーの「伝える技術」4つの基本


 こにゃにゃちは!かいぽんです。

 以前、ゲームプランナーに必要なスキルは、「考える」「伝える(共有)」「やる(実行)」「試す(トラブルシュート)」だ、という話をしました。

<参考エントリ>
第2回 ゲーム企画屋さんに必要なスキルとは(1)
第3回 ゲーム企画屋さんに必要なスキルとは(2)


 今回はそのなかの「伝える」技術のうち、4つの基本重要スキルについてのお話しです。

 ものごとをチームメンバーに伝え、その内容をチーム全体で共有するには、文書作成(ドキュメンテーション)がとても大事です。プランナーの仕事とは、この文書作成そのものである!と言っても過言ではないぐらい重要です。

 さて、この伝えるための文書作成における基本は、以下の4つに集約されると考えています。


<4つの基本>

  1. リストを作る
  2. 表を書く(マトリクス)
  3. 図を描く(チャート)
  4. 名前をつける(命名)

 プランナーの仕事とは、いってみればこの4つだ!これだけは絶対にできるようになっておけ!なにかに困ったら、この4つのうちのどれかで解決できるはずだ!というのがわたしの教えです。


1.リスト


 リストとは、つまり箇条書きです。直前に書いた上の4つの項目もリストです。リストに書く内容、つまりリストの種類はおもに2種類に大別されます。

 わかりやすいほうの種類からいうと、たとえばアイテムリストや武器リストなど、ゲーム仕様関わる内容のリスト。これらは「仕様リスト」といいます。ゲームの仕様概要を箇条書きにした文書なども、リストといえるでしょう。

 その他にもう1種類、タスクリストやバグリスト、発注リストなど、ゲーム制作のプロセスに関連する内容のリスト。個人的にはこれを「やることリスト」と呼んでいます。備忘録や更新履歴などもゲーム制作には欠かせないリストといえます。

 リストはおもにテキストエディタを使って記述します。エクセルを使う人もいますが、わたしはいつもテキストエディタです。
 ゲームプランナーは、とにかくなにをするにもまずこのリストを記述してから取りかかるのが基本中の基本の手順、といえます。すべての作業の第一歩がこのリスト作成です。

 なんでもかんでもまず箇条書きにしましょう。箇条書きにして悪いことはなにひとつありません!


2.表(マトリクス)


 表は表です。マトリクス表ともいいます。リストとリストの組み合わせが必要な事柄は、表に展開することで非常に簡潔に分かりやすく記述することができます。

 例えば以下の2つのリストがあり、それぞれ衝突判定があるとします。

自機の武器リスト

  • メインショット1
  • メインショット2
  • サブウェポン1(対地ミサイル)
  • サブウェポン2(対地レーザー砲)

自機以外のオブジェクトリスト

  • 空中敵
  • 空中障害物
  • 地上敵
  • 地上障害物
  • 敵弾1
  • 敵弾2
  • アイテム


 これを表に展開すると、たとえばこのようになります。(あくまでもサンプル例なのでゲーム的な内容についてはご容赦を)

表のサンプル

どうですか、このわかりやすさ感!さすがやでえ!

 この対応関係を、文章や箇条書きで説明するには非常に冗長になってしまいますが、表にすることで簡潔確実に伝わります。(サブウェポン2の対地レーザーは特別で、障害物を貫通して空中敵をもなぎ倒します!という例です)

 表は、エクセルやパワーポイントなどを利用して書きます。(上図はパワポで書きました)

 より実践的なテクニックとしては、一旦テキストエディタでタブ区切りで表組みを作っておき、エクセルにコピペして整形する、といった方法も有効です。

 なお、これら説明用の表のほかに、実際のデータ実装にエクセルを利用してプランナーが各種の表を作成するケースもゲーム製作現場では多くみられます。この場合は「伝える技術」というよりも実装の技術領域ですね。

 文章やリストの内容を、表のかたちに展開するスキルはとても重要です。

 また上記の、仕様説明以外にも、作業プロセスを表の形にして管理するケースもあります。

 たとえば、ステージ制作の作業工程(仮モデリング→コリジョン作成→イテレーション→本モデリング→テクスチャ作成→ライティング)などの進捗を各ステージごとに管理するには、リストでも可能ですが、表形式にしたほうが便利です。


3.図(チャート)


 図を使って説明したほうがよい事柄、UIの指示書、ゲーム進行のフローチャートなどは、簡単なチャート図を使って伝達するのが簡明確実です。
じゃんけんの関係のチャート図サンプル

 手書きのポンチ絵でもいいのですが、おもにはパワーポイントやエクセル、VISIOなどのツール類を使って作成するのが主流ですね。

 じゃんけんの関係は文章で説明してもシンプルなので、このぐらいのことをわざわざ図に描くかどうかは作業コストとの相談になりますが、より複雑な関係でもシンプルな図に展開できれば、伝達コストは大幅に圧縮できます。

 また、ゲーム進行を記述するフローチャートは超重要です。ゲームプランナーたるものフローチャートは絶対に書けるようになっておきましょう。まあそんな難しいものではないですが。


4.名前(命名)


 名前といっても、キャラクター名やアイテム名を考えることではありません。たとえばさきほどの「じゃんけんの関係」というのが、ここでいう「名前をつける」ということに該当します。

 格闘ゲームで、敵を飛び越えてガードの裏から攻撃することを「めくり」と呼ぶ。
 レベルエディタで、樹木やギミックを置いていく作業のことを「田植え」と呼ぶ。(昔のタイトーではw)

 これらはすべて、名前をつけることによって、わかりやすく説明できる例です。

 複雑な仕様や作業に適宜なわかりやすい名前をつける、命名することで、その後のハンドリングが非常にしやすくなります。

 ほかにも、よくあるわかりやすい例では、「新機軸!ほにゃららシステム搭載!!」とかの名前といってもいいでしょう。セールストークになるならないはまったく別の問題ですが、すくなくとも開発チーム内ではこれらの呼び名があることによって、コミュニケーションのロスが大幅に防げます。

 名前をつける、意外と重要です。


まとめ


 よく出来たプランナーは、企画書や仕様書に文章をほとんど書きません(シナリオライターは別ですがw)。

 リスト、表、図、命名の4つのツールですべてを説明するのが訓練されたプランナーというものであります。

 ゲーム仕様を文章に書いて説明するのは下策であり、リストや表図に展開して簡潔に伝えるのが上策というものです。そもそも3行以上の文章書いてもだれも読まないし!


 今回は、伝える技術のお話しでした。いかがでしたでしょうか。文章だとやっぱり説明が大変ですね。
それではみなさままたお会いしましょう。ばいなら~!

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