今回は、以前投稿したエントリ「アイデアの正体とは」の続編となっております。なお、このシリーズは今回も含めてあと3回ぐらい続くっぽいよ(たぶん)。長編だなー、たいへんそう・・・。
前回のおさらい
前回は、
アイデア = 目的 + 手段
という話をしたのでした。これを図で表すと、このようになります。
アイデアツリーの基本形 |
この図はとってもシンプルですが、今後も何度か出てくる基本形なので、ぜひ覚えておいてくださいね!
アイデアの良し悪し
あるアイデアがあって、そのアイデアが良いか悪いかなんて、ぶっちゃけ見りゃあすぐわかるだろ・・・まあそのとおりなんですが、良いものにせよ悪いものにせよ、次にその評価を人に伝えなければならないことがほとんどです。
そのときに、なぜそのアイデアが優れているか(あるいは見所がないか)を、理路整然と説明できねばなりません。判断はフィーリングで行なったとしても、説明はロジックでないと、説得力が出ないのです。
そこで、手順立ったアイデア評価手法が有用になってきます。発想はゲームデザイナーにとって重要ですが、アイデアを的確に評価するちからはもっと重要です。
アイデアの形式になっているか判定する
その”アイデア”が、目的と手段に分割されているかどうか判定します。どちらかあるいは両方に欠けてるようなら、可能な範囲で補足するなりして、とにかく目的+手段の形に整える必要があります。
もしそれができないなら、そいつはアイデアの体をなしてませんから、評価以前の問題です。その”思いつき”は、一旦心の引き出しにしまっておくか、ゴミ箱にぴゅーです。
前回はコロンブスの卵を題材にしましたが、今回はエジソンの電球が題材です。白熱電球を作るぞ!というエジソンのアイデアは、次のような目的と手段で構成されています。
エジソンの白熱電球 |
ちなみに白熱電球を発明したのはじつはエジソンじゃなくて、エジソンは白熱電球を長寿命に改良して実用化した人なんだって。へー。
アイデアの評価方法
ちゃんと目的+手段というアイデア形式になっていたら、そこでやっと評価が可能となります。その評価は次の2段階で行えます。
第1関門:アイデアとして論理的に成立しているかどうか?
第2関門:そのアイデアがどのぐらい目新しいか?
本当はアイデアの現実的な実現性とかコスト対効果だとか市場性だとかも評価基準になってくるとは思いますが、そこまで踏み込んだ判断は個別案件となっていくので、ここではその前段階として、そのアイデアがどの程度斬新か?(見込みがあるか?)ってところまでの評価手法の説明にとどめまーす。
1.アイデアとして論理的に成立してるかどうか判定する
目的と手段の組み合わせが、ちゃんと整合性をもって成り立っているかどうか。これをチェックするフェーズです。
この判定は簡単で、目的+手段の流れを逆さまにすればチェックできます。わお!
逆さまにしてチェックする |
その手段(過程)で目的(結果)が達成できる、という因果関係が成立していれば第1関門はパスです。
もしここで論理矛盾を起こすなら、これもまたアイデアとしては成立しませんので残念ながらゴミ箱にぴゅーです。
2.そのアイデアがどのぐらい目新しいか評価する
畳とアイデアは新しいほうが良い!「目新しい=良いアイデアに違いない」という基本原理に従った判定を行いますよ!まあほんとは一概にはそういえないかもですが、こまかいことは言いっこなし!
ということで、そのアイデアの新規性を評価するにはどうするか。
それにはアイデアを構成する目的と手段の両者について、それぞれ陳腐(ありがち)なのか、斬新(目新しい)なのかを見ていけばよろしいです。
その組み合わせは以下の4つのケースに大別されます。(陳腐さや斬新さにはアナログな段階があると思いますが、話を簡単にするためにここではデジタルで考えます)
A ありがちな目的 + ありがちな手段
B ありがちな目的 + 斬新な手段
C 斬新な目的 + ありがちな手段
D 斬新な目的 + 斬新な手段
以下にそれぞれのケースの具体例や見込み度を解説します。
A ありがちな目的 + ありがちな手段
普通です。”シューター向けに弾幕シューを作る”みたいなごく一般的なタイプのアイデアです。悪くはないですが良くもない。新規性はないかなー。というかんじです。現状の市場規模以上のヒットはない、そんなタイプです。
B ありがちな目的 + 斬新な手段
見込みがあります。ちょっと新しい。エジソンの白熱電球はこのタイプのアイデアです。(当時すでにオイルランプやガス灯は存在していたが、電気で明るくするところに新規性があった)
市場シェアを奪ったり、市場自体を押し広げるようなヒット商品はこのタイプのアイデアが多いです。新しさと手堅さのバランスがとれてるタイプといえるでしょう。
C 斬新な目的 + ありがちな手段
やや見込みがあります。いわゆる任天堂がいうところの”枯れた技術の水平思考”がこのタイプです。このタイプのアイデアは、ハマれば新しい市場を生み出し、爆発的大ヒットする可能性もあります。ただしコケるときは盛大にコケます。目的の斬新さに依存するでしょう。
D 斬新な目的 + 斬新な手段
注意が必要です。一見新しいことづくめで良いような気がしますが、ちょww斬新すぐるwwwという結果になりがちです。たとえば3Dテレビとかですね・・・(合掌
ただ、ウォークマンなどのように、人類の歴史を変えるようなヒットになる可能性も秘めてはいます。なので、このタイプのアイデアには慎重に取り組む必要があります。
過ぎたるは及ばざるが如し。なにごともやりすぎないことです。
まとめ
アイデアは、それが論理的に成立しているか、またどのA〜Dのどのタイプの目新しさをもつか、を評価するととたんに理解しやすくなるかと思います。新しさを判定するにあたって、目的と手段の新しさを個別に判定する、というのがぼくのおすすめするメソッドです。
大量のアイデアをすべてこのように評価するのは大変なので、もちろんフィーリングでふるいにかけて結構です。そして目星をつけたアイデアについては、このように分解して分析評価することで、なぜそのアイデアなのか?という説明が可能な、強固な理論基盤を構築しやすくなるでしょう。
いままでは、「なんとなく」で評価していたアイデアも、このような目線で見てみるとわかりやすくなるんじゃないかなーと思ってます。どうでしたでしょうか。
次回予告!
アイデアってさ、目的とか手段とかひとつずつってわけじゃないよな?という疑問が湧いてくる方もいらっしゃったかと思います。次回はそのお話しをするお!アディオス!
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