2013年6月18日火曜日

第13回 アイデアとは、目的と手段のタペストリーだ~アイデアの正体とは(5)


 こんちゃーす!おひさしぶりでございます。
今回のネタは「アイデアの正体」シリーズ最終回!

 アイデアとは、目的と手段が織りなすタペストリーだよおっかさん。

というお話しであります。
これまでのINDEX
その1 アイデアの正体とは(1)
その2 良いアイデア、悪いアイデアの見分け方~アイデアの正体とは(2)
その3 アイデアはタコ足なのよね~アイデアの正体とは(3)
その4 目的が先か、手段が先か、それが問題だ・・・~アイデアの正体とは(4)
今回(最終回)→ アイデアとは、目的と手段のタペストリーだ~アイデアの正体とは(5)

エジソンの電球


 これまでご説明してきた「アイデアとは目的と手段の組み合わせ」。これを、またまたエジソンの電球を例にとってみましょう。

白熱電球を作って夜を明るくする
エジソンの電球

 目的は夜を明るくすること、その手段は白熱電球を開発すること、です。さて当時の電球といえば、すぐに燃え尽きてしまい、とても実用的といえるものではありませんでした(電球そのものはエジソンの発明ではなく、当時すでに存在していました)。白熱電球をつくるといっても、ほいっと簡単につくってはいすぐ照明に使える!というわけにはまいりません。

 ここにエジソンの発想の偉さがあります。エジソンはすぐに切れる電球をなんとか長寿命化し、白熱電球による夜間照明を実現しようという、イノベーションを画策したのであります。


チャンクダウン


 ある手段があったとき、その手段を目的としてさらに下層の手段を発生させることができます。
この場合、「白熱電球をつくる」という手段が目的に変化して、さらに下層に「長寿命化する」という手段を生み出しています。

白熱電球を長寿命化する
下層の手段が生まれる

 さて、ここで「長寿命化する」という手段もさらに目的化して、もう一段下層の手段を生み出してみましょう。

さらに下層の手段を生む

 ガラス球を真空化し、さらに京都の竹を使うなどフィラメントを工夫する、という手段が生まれます(実際には試行錯誤のすえ生み出されたわけですが)。この場合の手段はタコ足、ひとつの目的から複数の手段が生える、になりました。

 このように、手段を目的化してそれを達成するための手段を掘り下げていくことを、専門的には「チャンクダウン」「ブレイクダウン」などと称します。なおぼくはチャンクダウンと呼ぶ方が好きですね。なんかおいしそうだから。


ボトムアップ


 チャンクダウンとは別に、目的を手段と捉えてさらに上位の目的を見出していく、こともできます。これを「ボトムアップ」といいます。(なおこの言い方はあんまり好きじゃないんで、もっといい表現ないかな)

 今回のエジソンの電球の例でいえば、目的「夜を明るくする」とは、いかなる目的の手段たりうるのか?と問うことがボトムアップです。その答えとしては「世の中を豊かにする」という新たな目的につながります。

 さらに「世の中を豊かにする」という目的を手段とし、ふたたびボトムアップしていけば「ワシが儲ける」だったり「オレ様の天才を証明する!」だったりに行き着きます。

ボトムアップしていく



 余談ですが、さらにこれらの目的を手段とし、さらなる上位の目的を見出すボトムアップを繰り返していくと・・・、最終的には「宇宙平和」だとか「神への挑戦」だとか、哲学やら宗教やらの領域に行き着くのでオススメしません。ボトムアップはいいかげんなところでやめておきましょう。


ボトムアップからの~、チャンクダウン!


 ボトムアップした目的からまったく新たな手段を生み出すことができます。これが必殺技のボトムアップからの~チャンクダウン!です。(個人的にはアイデアドリフトと呼んでますが)

 エジソンの例でいえば、世の中を豊かにする(目的)に対しては、蓄音機をつくったり(手段)、映写機を発明したり(手段)、電話を開発したりすること(手段)も、夜を明るくすることにおなじ「手段」になります。

 そういえばエジソンは、そのライバルであるもうひとりの天才技師ニコラ・テスラとは対立していました。テスラの野郎をぶっつぶすには、直流電流の最強を証明するのが最適です。そのためエジソンは交流電流をつかった動物処刑実験を画策したりとかしてたそうです。

 そういった話を図にすると、以下のようになります。

エジソンの脳内メーカー??

 エジソンが実際にはどのような発想をして数々の発明をおこなったのかは知りません。これまでのはなしはすべて個人的な想像です。今回はこの図が正しいかどうかは問題ではなくて、このようにロジックツリーに展開して考えるのがだいじだよ。というサンプルですので、そのへんご留意ください。

 なお、ボトムアップからの~チャンクダウン!と同様に、そのまったく逆を行う、チャンクダウンからの~ボトムアーップ!という技もあります。これもアイデアドリフトの一種。
 上の図でいえば、交流で処刑実験という手段から「見物料をとって見世物小屋を経営する」みたいな別の目的を見出す技ですね。


まとめ


 アイデアとは、目的と手段が織りなすタペストリーだよおっかさん。

アイデアツリータペストリー


 すばらしいアイデアを生む作業とは、このようなアイデアツリーのタペストリーを織り上げていく作業にほかなりません。

 ・手段を目的化して掘り下げる、チャンクダウン
 ・目的を手段ととらえ上位目的を見出す、ボトムアップ
 ・ボトムアップしてから新たな手段を見つける、ボトムアップからの~チャンクダウン!
 ・生み出された手段から新たな目的を見出す、チャンクダウンからの~ボトムアーップ!

 この4つの技を使いこなして、みなさんも自分の「アイデア」を織り上げていきましょう。わたしもいつも使ってます!


おまけの余談


 アイデアタペストリーは「マインドマップ」に似てますね。でもマインドマップは、チャンクダウンには強くてもボトムアップには弱い、という点が残念です。多くのマインドマップはトップから書き始めることを推奨しているようですので。適当な中間点からスタートできればいいのですが。
 ましてやボトムアップからの~チャンクダウン!などの必殺技に対応してるマインドマップツールってちょっと見たことがないかもです。もっとも使い方を工夫すれば似たようなことは可能かもしれません。
 アイデアタペストリーを描くための強力なツールの登場が待たれますね。


 今回のお話しで、アイデアの正体シリーズ全5回は終了です。長かった・・・。みなさまおつきあいありがとうございました。どうでしたか面白かったでしょうか。


 それではみなさままた会いましょう、ばいちゃ~!

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